「田中 聖瑋」と連絡がつかなくなって、二週間がたった。

ますます自分は焦りだした。やっぱり、直接彼女の家に行って、生存を確認した方がいいのではないか。別に彼女の家に行くこと自体、抵抗はない。

普通に元気に生活しているのがわかれば、何食わぬ顔してまた、帰ればいいのである。そのときは、単に自分に対して嫌気がさしてしまったのだろう。

だから、一日に一度はかけている電話にも、おはようやおやすみ、お疲れといったメッセージにも何の反応がないのだろう。

彼女の他のSNSも確認したが、これといって変化はなかった。

彼女のSNSが見れると言うことは、少なくともブロックはされていないということだろう。

そうした意味では、まだ嫌われていないのかもしれないし、単に波風を立てたくないだけなのかもしれない。


しかし、自分がうじうじしている間に、時はいたずらに過ぎていき早一ヶ月が経過した。

毎日がSNSの確認のための処理としてすぎていくように感じた。

彼女とのLINEも家族との会話も、心が動かなかった。だからといって、いつもと同じようにしか身体は動かなかった。

彼女のSNSは一日たりとも変化しなかったし、自分の送り続けているメッセージにも既読や反応がつくことはなかった。

これはあからさまにおかしい。そう断言できる。

とっとと、家に行くなり警察に連絡するなりすればいいのだ。

でも、自分と彼女はただの親友で友人だ。たった一ヶ月、連絡が取れないだけでおかしい。と思うのはおかしいのではないだろうか。

自分の三百人近くいるLINEの友達でも年に数回しか会話をしないやつや、ある日ぱったりと会話が終了した相手もいる。

だからといって、彼らの身に何かあった。という話は全く聞いたことがない。

それに本当に万が一なんかあったとき、仮にニュースにでも、知人男性からの通報と出ようものならそれはそれで問題だし、彼女が仮にぴんぴんしていたら、通報した自分に何かしらの疑いの目が向けられる可能性もなくはないのだ。


そんなこんなで、理由をつけて結局LINEでしか僕は彼女と繋がろうとしなかったのである。

なんだかんだで自分が一番かわいい。今なら本当にそう思う。

それっぽい理由をつけて、人を傷つけ、傷つけられる事を恐れて、結局全てを傷つけてしまう。


本当にだめな人間だった。

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