間章 世界を食べよう その① 韓国編
ラタトゥイユはフレンチ、パスタはイタリア、ボルシチはロシア、麻婆豆腐は四川。
クックパッドや料理本の豊かさによって、料理の境界線がなくなって家でもいろんな国の料理が作れるようになったので、唐突に世界の料理について語ってみよう。
第1回は韓国料理。
韓国料理といえば真っ先に出てくるのはキムチかもしれない。日本でいうところのぬか漬けのような存在だ。トウガラシの赤いキムチもあれば、浅漬けのようなあっさりとした水キムチもある。
しかしクロサキは韓国料理といえば真っ先に、昔やっていた韓国ドラマ「宮廷女官チャングムの誓い」を思い出す。メミルチョンビョン、味噌チゲ、チャプチェなど、あれでキムチ以外の韓国料理を知った方は少なくないんじゃないだろうか。NHKの海外ドラマ枠はたまに優秀だ。
チャングムがNHKの日曜23時枠で放送していたのは2006年あたりだと記憶している。その頃私は大学受験真っ盛りで、日曜日に見るチャングムと土曜日にWOWOWで見る「シュヴァリエ」、そして数学の時間にサボって読む「陋巷に在り」が1週間の楽しみだった。
そんな楽しんで見ていた縁でチャングムのレシピ本を書い(韓国料理に興味のある方は、これ一冊あるといいかもしれません。韓国独特の食材や料理のルーツを書いてくれているものもあります)、大学生の時は授業の一環で韓国に行ったりもした。慶州で食べた海鮮豆腐チゲと、大学の教授が「何回も韓国に行ったけれど、こんなに美味しいサムゲタンは初めて食べた」というほど美味しかったサムゲタン、ソウルで食べたチヂミ、博物館で飲んだ柚子茶など、うまいもん結構あったなぁ、というのを記憶している。
そして韓国料理に舌鼓を打ちつつ、チャングムのレシピ本をぱらぱら見ながら気がつく。
もちろんこのレシピには製作者の創作も入っているだろうし、当時の料理については推し量ることしかできないかもしれない。しかしその創作は、現在の韓国料理にもつながっているかもしれない。
昔の韓国料理、主に宮廷料理は、辛いものが少ない。
現地に行っても、あまり辛いものに出会うことがなかった。
そして韓国料理に圧倒的に使われるのは、唐辛子ではなくニンニクである。
まぁ、ニンニクってどの国の料理にも圧倒的に使われるので、韓国に限ったことじゃないんだけど、ここで取り扱いたいのはニンニクの使用方法。
ここから書くことは、私が韓国に行っていた1週間の体験談である。私の体験に基づく記述なので、他の方がどうなるかはわからない。しかし、まず、韓国料理は大変美味しくヘルシーなものも多い、とだけ書いておきたい。
韓国に行っていた1週間、いわゆる唐辛子のキムチのような、「辛いもの」はほとんど食べていなかった。これがしれただけでも韓国にいった意味がある。唯一食べためちゃくちゃ辛いものが、ソウルで食べた「温麺」。ハングルが全く読めない私だが、ハングルの上にはローマ字で「HOT NOODLE」と書いてあった。ホットヌードル。食べたよ、これがめちゃくちゃ辛い。うまいんだけど、完食できないぐらい辛い。友人が食べていた餃子のスープにすれば良かったとガチで後悔する。キムチ以外はこれだけだった。
ただし、食べるものには高確率でニンニクが入っていた。プルコギにもサムゲタンにも冷麺にもクッパにも入っていた。飯を食べると、大体どこにもナムルが出てくる。これもちょっとニンニクの風味を感じる。プルコギうまかったよ、肉!って感じがして。サムゲタンうまかったよ、先生の言うとおり。
そして滞在中韓国料理をひたすら食べまくった自分に訪れた変化。
自分の体の穴という穴から、ニンニクの匂いがもれ出ていたのである。
……これ、私が食べた料理のチョイスが悪かったんだろうか。そしてそういえばと思い出す。
大体食べた韓国料理を思い出してみれば、ニンニクが生のまま丸のままごろっと煮込まれているものが多かった。プルコギだってそうだ。あれ、鍋なんだから。
フレンチやイタリアンだと、ニンニクは刻んでオリーブオイルで揚げるように炒めたやつを使う料理が多い。そうするとオリーブオイルにニンニクの風味が入るので、肉や魚の臭みとりにもなるし、野菜同士をつなげる橋渡しになる役割を果たしている。もちろんそれは韓国料理だってそうだろう。肉と野菜の橋渡し。料理を一つにする。だが「生のまま」と言うところにポイントがある。
全ての食材にじんわりと行き届くニンニクの存在が強いのである。そして「じんわり」ニンニクが行き届いた料理が多い印象を受けた。
……個人的に現地に行ってこんな経験のある韓国料理だが、じゃあお前韓国料理嫌いなわけ? と聞かれると、
答えは「好き」です。
だってうまいじゃん。結構野菜多いし。肉も多いし。野菜のナムルとゴハンだけで一食になるよ。好きな韓国料理はって聞かれたら、チヂミです。お好み焼きより作りやすいし簡単だし。サムゲタンも嫌いではない。丸鶏使ってぬかの汁で作る。うまに決まってる。
お菓子も美味しいものがある。チャングムのレシピにあった「ユルラン」と言う栗のお菓子。これは栗とシナモンの香りがいい感じに混ざった大変美味しいお菓子だ。作り方も簡単だ。
そして今までで食べた中でダントツで美味しかった韓国料理は、冒頭で書いた慶州で食べた海鮮豆腐チゲだ。
あれ、もう一度食べることってできるんやろか。でもそう思いつつ10年以上経っちゃったから、「美味しかった」って言う記憶しか残ってないんだよなぁ。
思い出しつつ自己流でつくってみるか。そうしたら、もしかしたらこのめしログに載るかもしれないですね。(それまでこの飯ログが続いているかどうかは甚だ怪しいが)
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