体感

自らの頭部へと意識を


 神経を研ぎ澄ませる


 まず目を瞑ると星の集団と流れる熱の色をした落雷のようなものが雑音のように目まぐるしく浮かび上がる


 そうして次に耳の両側に意識を傾ける


 すると根底に重たくのしかかるものと、さーっとしたせせらぎの音


 日中に拾い集めたものを反芻する音が広がる


 中央にある鼻は生気を吸う


 体内の温度と交差する瞬間は不快と渇望が混ざる


 口は全ての胎動を取り計らう


 脈々に受け継がれる熱を


 触れる物の受け入れがたい冷たさを


 そして最後に


 頭上へと意識を巡らせる手前


 全ての感覚は痛みを伴い忘却に身を任せる


 存在を認識する時、多くの場合痛みが伴うものなのだろうか


 その問いの答えを知れば不仕合わせとなる


 だから人は偽って、気づかぬ振りをして生きてしまうのだろうか


 更なる痛みに顔をしかめながら


 重たい瞼を


 外界に馴染ませていくようにして


 ゆっくりと開いていく

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