第15話 思い出

旅行当日。


車に荷物を入れて昼前に出発。

ちょっとした時間でついてしまうので、まりんはぐずらずに箱根に着いた。


お昼ご飯を食べて川原で遊んだり、温泉街でおやつを食べ歩きして楽しい時間を過ごし宿に行った。


「せんとちだぁ!」


着くなり、まりんのご機嫌は最高潮になり騒ぐ。


チェックインを済ませて思うように過ごす。


「まりん大きいお風呂行ってみる?」


「いきたい!」


「公志くんも行く?」


「行こうかな、鍵は俺が持っとくよ。多分2人より早く部屋に帰るから。」


「わかった、じゃあお願いするね。」


あけみもいつもより笑顔が多く楽しんでるように見える。

2人が楽しんでいる様子を見て私はとても嬉しかった。


2日間箱根を楽しんだ私たちは夕方頃、家に向かって車を走らせていた。

山を登り下っていく中で、とても景色がいいところを見つけたので脇に止められるところを見つけてとめることにした。


車一台分しか入れないところだったが軽く景色を楽しむにはちょうどいい場所だった。


「パパ、またここにおでかけしたい!」


「そうだね、また来ようね。」


「みんなでたくさん旅行して楽しい思い出作ろうね。」


「うん!」


「うん、じゃそろそろ出発しようか。」


車に乗り込み、後方確認。

すると一台車が走ってきたのでその車を先に行かせてから出発しようと思い、カーナビをいじりまりんの好きな音楽に変えていた。


[ガッシャン!!!]


とてつもない衝撃が体に走り何が起きたかわからなかった。

エアバックがでて飛び散ったガラスに変な匂い、これはガソリン?

さっきより自分の椅子が前に出ている感じがする。


訳が分からず後ろを向くと、

あけみとまりんが前の椅子と後ろの席に挟まって動かない。


「おい!大丈夫か!」


2人に声をかけるが返事がない。

なんでこんなことになったんだ。


震える手で救急車を呼ぶ。


2人を外に出すために自分がまず外に出ようとするが、扉が歪んでいてなかなか開かなかった。

力いっぱい扉に体当たりし扉を開けた。


外をみると壊れた車の破片が飛び散っていた。車の後ろを見るとさっき後方確認した時に見た車が自分の車に突っ込んでいた。


突っ込んできた中の人も気を失っているのか、動いている様子はない。


私はあけみとまりんを救出するために椅子を倒す。

椅子を倒すと一緒に2人とも倒れる。


「お願いだ…目を覚ましてくれ…。」


一人で無我夢中で救出をやっていた。


我に帰った時、救急隊が意識を失った3人を救出していた。

自分は手当をされていた。


「俺の家族は?なぁ…大丈夫なのか?」


「これから病院に向かいます。お父様も一緒に…」


ここからはもう必死に二人の無事を願っていて、起こっていることをしっかり把握できていない。

でも医者からのあの言葉。


「残念ですがお二人とも…」


内臓が破裂し骨が折れ、手の施しようがないらしい。


あの運転手は突然の心臓発作。


下り坂とハンドルの向きで不運にも自分の車に当たったということ。


あの時、待たなくても車は出せていた。

なのになんとなく先に行かせようと思っただけに愛している家族を失った。


また来ようねってさっき話していたのに

いなくなってしまうのは一瞬。


自分のせいで2人を死なせてしまった。

ショックで仕事もなにも手につかなくなった。

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