第27話 黒猫

自宅に帰ると安心する……本当にそうだろうか?


私のアパートには一匹の黒猫がいる。


ある日、唐突にやってきて、首輪もなかったので、


そのまま家に入れて、窓やドアを開けても逃げて


いかないので、そのまま居候となった。


その猫が、たまに何かを目で追いかけながら、


警戒している様子がみられる。


黒猫の目線を追うけれど、私には何もみえない。


たまに、何かいるのではないか? と気配を感じる。


この部屋には、何かいる……。


私は怯え、引っ越すことにした。


そのとき、黒猫に訊いた。「一緒に来る?」


しかし黒猫は動かなかった。


元々、野良だったのか、それとも飼い猫だったのか?


分からないけれど、もし前の住民が飼っていたのなら、


あそこから動かなかったのもうなずける。


ネコは家につく、という。


今では、あの黒猫は、あの部屋に取り憑いた幽霊だった


のではないか? と疑ってすらいる。


そして、幽霊は人に取り憑く、という。


あそこにいた幽霊は、私について引っ越し先にいる。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る