第26話 随筆。ゾンビは難しい
ゾンビというのは変わった化け物です。元々はブードゥー教の
罰として与えられる仮死状態からよみがえった人、という事象を
元にフィクションが創作され、やがてゾンビ三原則によって、
ホラー映画としての地位を獲得しました。
しかし今ではあえてゾンビ三原則を破り、走り回ったり、
喋ったり、脳を破壊されても動いたり、といった形の映画も
つくられたりしています。
しかし人間を襲うと感染してしまうという体裁は、中々に説明も
面倒で、多少の怪我ぐらいで脳まで侵される、というウィルスは
現時点でも発見されていない。
人間であり続けるのなら、ゾンビの餌であり続けるのだから、
肉体なんてなくなってしまうだろう。
それこそ一噛みで相手が諦めるほど、ゾンビ化してしまうというなら、
そこに関しての説明も必要になってくるけれど、生憎とそれを
説明する映画と、まだであったことがない。
しかしゾンビが喋ったり、感情をもっていたりすると、
もうその時点で脳が活発に動いていることになり、心臓が動いて
いないのに、自由に動けることだけがゾンビとしての機能になって
しまい、もうゾンビでなくともよくなってしまう。
しかし安価で、おもしろい話ができる、というゾンビの特性は、
これからも映画界で重宝されるのだろう。
ただ文芸界からみれば、ゾンビは扱いにくい。何しろ、色々と面倒な
ことを説明しないといけないからだ。
ゾンビは、映像でみるに限る。
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