第15話 踏切

そこは呪いの踏切と呼ばれている。


年に数回は必ず飛びこみ自殺があり、確実に死ねる。


その噂が広がると、さらに事件が増えた。


今や一月に一件以上、というペースで事件が起きる。


その踏切の角に、一軒のお店があった。


緩やかにカーブする、その外側にあるため、


飛びこみ自殺があると、必ず血飛沫がその壁にかかる。


血飛沫ならまだよい方で、肉片がぶつかってくることもある。


そのたび、警察がきれいに掃除してくれるけれど、


あまりに回数が多くて、やがてシミができた。


そのシミは、まるで人の姿のよう、と噂になった。


だから、そのお店は看板屋になった。


今日も、ドンッ! という大きな音がする。


そのたび壁は染められ、お店の宣伝になってくれるだろう。


店の主人はほくそ笑む。

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