第14話 蚊

夏になると、蚊がでてくる。


世界でみると、一年中蚊がいるところもあるらしい。


蚊が嫌なのは、あの甲高い羽音もそうだけど、


やはり痒みがある点だろう。


しかし、実は最後まで血を吸わせると、


大して痒みも残らない、ということを知っているだろうか?


血を吸う時、凝固しないよう、溶解液を体内に送り込むが、


それが痒みの元。でもたっぷり血を吸うと、


その溶解液まで吸い尽くすからだ。


もし痒みがなかったら? そんなことを考えたことはあるだろうか?


恐らく人間はそれほど邪険にせず、蚊が巷にあふれ、


そうなると、一日に何十匹と刺されることになるだろう。


それこそ、人間の造血作用を越える量の血を、


吸い尽くされることだってあるかもしれない。


蚊は、世界中で人類を一番殺している生物だ。


もしその痒みがなかったら、もっと殺していることだろう。


蚊は純粋な吸血族なのだから……。

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