第16話 川
川は、楽しい遊び場だ。
流れている水が、より遊びの幅を広げてくれる。
しかし川に入ると、意外とその底にある石が滑り、
立っているのが難しいことに気づく。
しかし川遊びをしていれば、倒れるなんてふつうのこと。
びしょびしょになることさえ気にしなければ、
どうってことのない話だ。
ただ、みんなで川遊びをしていて、最後に水から
上がるときは、注意した方がいい。
川も、子供たちと遊びたいのだ。
だから後ろ髪をひかれたら、それは川が引き留めている。
そしてそのとき転んだら、それは川に引っ張られている。
脚をとられている。きっと帰らないで、と言われている。
最後の人は、ここに残って、ということなのだ。
大抵のところは、そうは言っても帰ることはできるだろう。
でも、川によってはその思いが強すぎて、
人を手放さないところもあるかもしれない。
もし転んだ後、自ら上がっても、ふり返ってはいけない。
だって、そこには流れていく水に映る自分がいる。
それが「おいで、おいで」と呼んでいるかもしれないから。
それは、決して水に流せないものだから。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます