第4話 ハンバーグ

私はお母さんのつくるハンバーグが大好きだ。


私もお手伝いをして、ハンバーグをつくっている。


お父さんも大好きで、おいしい、おいしい、と


言って、いっぱい食べる。


家族みんなで、楽しく食卓をかこむのが大好き。


でも、お父さんが外で女の人と仲良くしている、


と言っては、お母さんは自分の爪をけずり、


その粉を、お父さんのハンバーグに入れている。


お母さんがいう。「私の爪、きれいでしょ」って。


お父さんがいう。「いつもきれいだよ、ママ」って。


私はそんな、奥歯にものがはさまったような会話をする


二人は嫌い。もっと仲良くしてほしい。


だからこっそり、私は自分の髪の毛の先を切って、


それを二人のハンバーグに入れているの。


お母さんがいう。「髪が伸びるの、遅いわね」って。


お父さんがいう。「手のかからない子だね」って。


でも本当は、少しずつ切っているから。


いつか気づくかな?


奥歯に私の髪の毛がはさまったら、気づくかしら?


だから私、ハンバーグが大好き。


両親がいつ本当のことに気づくか、楽しみだから。

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