第32話美男美女コンテスト

舞台袖に10人とお付の皆様で総勢20人がコンテストが始まるのを緊張した面持ちで待ち中。

「アンディー。」

グレースちゃんがアンディー君を見付けていそいそと傍に寄る。

「グレース!凄く似合ってる!」

「ありがとう。アンディーもカッコいい。」

2人がウィンダイアモンド王子とマリーローズ姫の衣装で寄り添うと本当に王子と姫に見える。


そんな2人の元に仲良し悪役令嬢達が近付いてきた。

「わー!!グレース様!素敵!お似合いですわ。」

ケイトちゃんが嬉しそうに寄ってきた。

「第1王子とマリーローズ姫?!そう言う事!!やるわね。」

ジェニファーちゃんも感心した様にグレースちゃんを褒める。


「グレース様。これはいけるわね!」

ジャスミンちゃんも不敵な笑みを見せてそれは嬉しそう。


「では、コンテスト出場の皆様。先ずは男性からお1人ずつステージに御登場お願い致します。」

文化祭実行委員と腕章を付けた女生徒がそう言った。


「あら。その件だけど。異議あるわ。」

ジェニファーちゃんがズイッと前に出た。

「えっ・・・えっと。」

ジェニファーちゃんに迫られてドギマギする女生徒。


「私達8人は婚約者同士ですのよ。御存知なくて?だから私達は婚約者同士でエスコートでステージに上がるわ。」


「そうね。私もレオにエスコートされて舞台に上がりたいわ。」

ジャスミンちゃんが同意する様に女生徒に迫る。


「えっ。どっどうしましょう?会長!」

権力者悪役令嬢達が口々に好き勝手言うのを宥める事が出来ず。女生徒は出場者でもある生徒会長に助けを求める様に訴えかけた。


「そっ・・そうだな。」

生徒会長は改めてエントリーメンバーをチラリと見て最後にジュリエットを見た。

「では。僕がジュリエットさんをエスコートすれば良いのかな?」


「そうですわね!!」

ジェニファーちゃんが嬉しそうに生徒会長に微笑んだ。


皆、やるわね。生徒会長は役得!って顔で嬉しそうだし。


「アンディー様とグレース様は登場は最後にされた方が良いわ。盛り上がるわよ。」

ジャスミンちゃんがフフっと笑い先ずは私達が行くわと言った。


ステージではマイクパフォーマンスが行われ拍手が起こっていた。


「さあ!いよいよ美男美女コンテスト開催です!!」


ジャスミンちゃんとレオ君が2人で仲睦まじく登場すると会場はワァーっと歓声が聞こえた。


私も会場で見たかったなあ。

舞台袖からも見えるんだけど。


続いてケイトちゃんとローガン君が登場。

うーん。めっちゃ盛り上がってるー!


気になるわぁ。


「じゃあお先に。」

ジェニファーちゃんがニッコリ微笑んでグレースちゃんに手を振った。


ジェニファーちゃんとエドワード君が登場するとまた歓声が上がった。


「緊張してきたわ。」

「同じくだよ。グレース。」

グレースちゃんとアンディー君はそう言って顔を見合わせるとクスクスと笑った。


良い感じ。この衣装合わせで2人の仲が更に良くなった気がする。


「続きましては、我が校の生徒会長オリバー様とジュリエットの登場です。」

アナウンスに合わせて2人が手を取り舞台へ向かって行った。


彼女の愛想の無い母親はその場で大きく拍手していた。


ウワァー!!!と一際大きな歓声が上がった。

綺麗!美しい!そんな言葉が飛び交っている。


うーん。

そうかしらね?


やっぱりジュリエットには人を惹きつける魅力があるのかしら。


歓声は暫く鳴り止まずグレースちゃん達がなかなか登場出来ずにいた。


「はーい。次がラストです。皆さーん。少しお静かにー。」

「やっぱりオリバー会長とジュリエットさんは素敵だから仕方ないですよね。」

マイクパフォーマンスをする文化祭実行委員の子達が更に生徒会長とジュリエットを推している感じ。


なかなかグレースちゃん達を呼ばないのがムカつくわ。


「はい!ラストはアンディー様とグレース様です。どうぞ!」

ちょっとおざなりな感じで紹介された。


「大丈夫よ。グレースちゃんが1番綺麗だから。そしてアンディー君が1番カッコいいわよ。」

緊張する2人の背中をポンと押した。


アンディー君の手をグレースちゃんはそっと取った。


それは本当に童話の王子と姫の様に優雅で美しい後ろ姿だった。


2人が舞台に上がった。


一瞬の静けさ・・・そして。


キャー!!!ウワァー!!


その日1番の歓声が会場中に広がった。

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