第33話優勝は?!
グレースです!
ジュリエットと生徒会長の登場での盛大な盛り上がりが悔しさもあったけど緊張で・・・震えがぁぁぁ。
「グレース。大丈夫だよ。俺も緊張してる。」
アンディーが私の強ばった顔を見てクスっと笑って優しくそう言った。
「そうよね。緊張するわよね!」
私も目を合わせて微笑んだ。
緊張よりもアンディーとお互いこんな風に笑い合える事が嬉しくなって来た。
文化祭実行委員の子のアナウンスが聞こえた。
「頑張ろうグレース!笑顔だよ。」
「はい!」
そして、アリスねーさんが背中をポンっと押してくれて肩の力がスっと抜ける気がした。
アンディーが私の手を取ってエスコートしてくれる。
大きく息を吸って吐いてぇー。
フーーー!
良し笑顔で!!
まだ少しジュリエット達で盛り上がっていたステージへ。
刹那的な沈黙が本当に流れた。
コマ送りの様にステージ上から一人一人の生徒達の顔がハッキリと見えた気がする。
そして・・・。
ウワァー!!!
キャー!!!
思わずビクッとなるくらいの歓声や拍手が沸き立った。
「凄いね。」
アンディーがそう言った声も囁きの様に小さく聞こえた。
「アンディー頑張りましょう!」
キュッと手を握った。
2人で見詰めあって。皆に向かって。
さあ!笑顔だ!!
拍手と叫び声は歓喜に満ちていた。
気持ち良いー!皆から向けられる笑顔に私も精一杯の笑顔で返す。
嬉しい。嬉しい!
歓声は王子と姫と呼ばれる掛け声が多くこのコンセプトが理解されたんだと思うと嬉しいのとアリスねーさんへの感謝で更に心が踊りそうだ。
ステージの中央で2人でご挨拶。
絶対、私達の方が盛り上がった。そう思えた。
「美男美女コンテスト。これから投票に移ります。」
文化祭実行委員がそう言った。
何かステージに上がったのは一瞬だったわ。
去年、3年生の見た時はもっと長かった気がしたのに。
「出場者の皆様は控え室でお待ち下さい。生徒の皆さんは各クラス単位で投票用紙回収します。」
そうか。一旦戻るのね。
「行こうグレース。」
「そうね。楽しかった!」
アンディーも凄く良い笑顔している。良かった。それが一番嬉しい。
舞台袖にはアリスねーさんがウルウルした目で待っていた。
「良かったぁぁぁ。グレースちゃん!良かったわよ!アンディー君!カッコよかったぁ!」
「アリスねーさんのお陰!ありがとう。」
「俺も髪のカットとかありがとうございました。」
アンディーと2人でお礼を言うとアリスねーさんは本当に幸せそうに微笑んだ。
投票集計には暫くかかるから再び控え室にアリスねーさんと待つ事にした。
・・・・・・・・・・・
感動したわ。
本当に2人は王子と姫に見えた!
「あー。ホッとした!後は投票次第ね。」
上手くは行ったと思う。
後はジュリエットがどれだけ男子を魅了しちゃったかよねぇ。
「楽しかった。優勝出来なくても楽しかったわ!」
グレースちゃんが満足そうな顔で入れてあげた紅茶を飲んだ。
「そうね。アンディー君との仲が深まった気もするし?」
「そうなの!何かね・・うふふふ。」
嬉しそうに照れ笑いするグレースちゃんだけど本当にアンディー君は出会った頃より確実にグレースちゃんを好きな気がするのよね。
ブーブー・・・スマホが鳴った。
「ルーカスからだわ。来てたのね。」
『良いアイデアだったと思うぞ!これは優勝かもしれないな!』
うふふ。私もそう思うっと返事した。
「アリスねーさん。何なに?嬉しそうじゃない?」
グレースちゃんが揶揄う様にニヤニヤしてる。
そんなに嬉しそうな顔したかしら?
「そんな事ないわよ。貴女達を褒めてくれたのよ!」
何かルーカス王子ってこの世界で出来た初めての友達な気がするのよねぇ。
無自覚のお仲間な気がするし。
集計と発表までは小一時間くらいあった。
用意されていたお菓子を摘んだりメールをしたりお喋りしたりと時間を潰した。
何だかんだでグレースちゃんもアンディー君とやり取りしてるし。
他の悪役令嬢達とも嬉しそうにやり取り中。
やっぱり悪役令嬢が結託すると強いわね。
部屋がノックされ再びステージへ呼ばれた。
「大丈夫。大丈夫よ。」
グレースちゃんが自分に言い聞かせる様に立ち上がった。
「うん。やれる事はやった!大丈夫よ!」
後は・・・結果。
舞台袖にはもう皆、揃って居た。
「多分、大丈夫よ。」
ジェニファーちゃんがグレースちゃんの背中をポンと叩いた。
「うん。だと良いけど。」
グレースちゃんはまだ不安そうな顔をした。
「それでは!出場者の皆様ステージへお上がり下さい!」
アナウンスに促されてグレースちゃん達は登壇した。
「さあ。待ちに待った美男美女コンテストの優勝発表!!」
観客席はまた拍手喝采で盛り上がっている。
「私もまだ誰が優勝が存じておりません!今から見ます!」
文化祭実行委員はノリノリで優勝者が書いてあるであろう紙を封筒から出した。
「これは・・・。えーと。発表します!」
少し彼女は眉間に皺を寄せて困った顔をしたが気を取り直した様にマイクに向けて声を発した。
何かあったのかしら・・・。
「先ずは美男コンテスト。今年の優勝は!!」
御丁寧にドラムロールまで流れた。
「アンディー・ローラン様です!!」
会場中はワァー!!!と歓声でわいた。
アンディー君優勝かあ。
おめでとう。
それにしてもドキドキする!
「では、美女コンテストの優勝発表します!」
ゴクッと唾を飲み込んだ。
ドラムロールが流れる。
やっぱり文化祭実行委員の子は少し困った顔をしていた。
「優勝は・・・。えーと。」
「ジュリエット・ホワイト様と」
え?!
嘘・・・負けた・・・。一瞬耳を疑った。
「ジュリエット・ホワイト様とグレース・ベイリー様のお2人です。同票でした。」
2人?!同票?
会場は歓声とザワザワとした声で少し混乱している様に見えた。
「どっ。どうしましょう。こんな事は初めてですね。」
文化祭実行委員のマイクパフォーマンスをしていた子に他の文化祭実行委員の子も集まり少し揉めている様に見えた。
どうなるのかしら!?同点優勝?
更に投票決戦?!!
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