第31話いざ本番よ!
第1王子ウィンダイヤモンドとマリーローズ姫の衣装はやる気満々のメイド達によってかなりの出来栄えに仕上がった。
勿論、アンディー君の衣装もこの前見たけれど素敵だったわ。
何か王子には宝石の名前が入ってる8人の王子達。
この第1王子と姫の衣装のベースは赤と白。
遠目でも解るくらいハッキリしている。
しかも姫のドレスは可愛い!
コンテスト前日にアンディー君の髪を少し切ってウィンダイヤモンドに似せた。
グレースちゃんの髪型は童話の絵を再現するのに少し手間るけれど再現は出来る。
化粧は何度も練習して近付ける様になったわ。
それよりも何よりも!!
このままアンディー君とグレースちゃんは上手くいくんじゃないかしら?
何か絶対仲良くなっている気がするのよねぇ。
まあ、オネェの勘だけどー。
「アリスねーさん!緊張してきたぁ!」
「まだ学校にも着いて無いわよ。」
車の中でグレースちゃんは緊張した面持ちで足を子供の様にバタバタさせた。
でも、私も緊張しているのよね。
昨日、連絡したら第2王子ルーカスが文化祭にお忍びで見に来る!と言っていたし。
負けたくないわぁ!
衣装は私が抱えて車を降りた。
「コンテスト出場者は控え室にお願いします。」
校門の所で先生にそう指示された。
「行こう。アリスねーさん。」
「本番は講堂だったかしら?」
そうそうとグレースちゃんは頷いた。
出場者は男女合わせて5人。
グレースちゃん、ケイトちゃん、ジャスミンちゃん、ジェニファーちゃん、そしてジュリエット。
男性はアンディー君、ローガン君、レオ君、エドワード君と生徒会長らしい。
生徒会長には会った様な会ってない様な学校には何度か出入りしたけれど記憶曖昧だ。
やっぱり、攻略対象の隠しキャラだからかしら。
ジュリエットも生徒会長とくっ付いたら問題無いのに!
「ここみたい。」
講堂の中には幾つも控え室がありその1つ1つの扉に名前が書いて貼ってあった。
芸能人の控え室みたいね。
控え室は鏡台と椅子。
テーブルセット。
テーブルの上にはお菓子や電気ポットにティーポットにカップが置いてあった。
着替えとヘアメイクの時間は1時間取ってあった。
「じゃ。始めるわよ。」
「お願いします。」
着替えたグレースちゃんはそれだけでも可愛い。
それを更にパワーアップ!
マリーローズ姫の顔はイメージ的にはローマの休日のオードリー・ヘップバーンな感じ。
本当に美女なのだ。
愛らしい目元を作る為にカールのハッキリして長めのマツエクを昨夜付けて下準備はOK。
アイライナーは自然に。
アイカラーも自然だけど可愛い感じに。
鼻筋通してっと。
フェイスカラーで健康的な頬にする。
口紅は少しローズカラーの赤。その上にグロスでぷっくり艶を出す。
化粧はこれでOK。
さて、髪型はアップにするんだけど。キッチリアップでは無い。
所謂!ゆるふわ系アップ!
近年流行りの『くるりんぱ』。これは本当にアレンジが楽だ。
これをベースにアップして編み込み、ロープ編みで緩いけどゴージャス!な感じにしていく。
美容師免許持ってるけどこれはミミちゃんがやればもっと上手く出来ただろうなあ。
みんな元気かな?
髪を編み込みながらそんな事をふと考える。
「可愛いー!凄く凄く良い!!」
グレースちゃんが鏡を見て興奮した様に笑顔を見せた。
「でしょー?結構、考えたのよ!」
うん。バッチリ仕上がった!!
開始10分前か。ギリギリだったわね。
「間に合って良かったわぁ。後は本番ね!笑顔よ!笑顔!」
「はは・・・。笑顔出るかしら。」
もう、さっきの笑顔でいけば良いのにまた顔が固まった。
緊張するのは解るわ。
第2王子ルーカスとやり取りして解ったけれど。
この他薦って方式。
『コンテストの他薦は多分、金持ちが選ばれる筈だが?』
『でも!ジュリエットが選ばれているのよ!』
『あれの何処が良いか解らんが?』
とルーカスは相変わらずだったけれど本来は家柄の良い人物から順番で5人らしい。
ジュリエットはイレギュラー・・・。
いやもう!これは主人公チートってやつだろう。
部屋がノックされてグレースちゃんがビクっとなった。
「はっ・・はい!!」
「すみません。コンテスト開始されます。」
わーおー。呼びに来た。
講堂のステージの横までグレースちゃんをエスコートする事に。
控え室を出たら偶然にも隣はジュリエット・・・。
バチッと火花が散る様に目が合ったが直ぐに逸らされた。
うん。グレースちゃんより私と目が合ったわ。
「ジュリエット。ドレス汚さない様に。」
ジュリエットの部屋から声が聞こえて中から1人の女性が出てきた。
お母さん?メイドさんが居る家庭では無いだろうし。
うん。そうね。年は30代後半?綺麗な女性だ。
ジュリエットのドレスは赤。赤被りだけどデザインは全然違う。
フリルたっぷりでそれは可愛いジュリエットに似合っていた。
髪型はピンクの髪をアップにしているが夜会巻きの様なアップ。
ちょっと勿体ないわね。若さが無いわ。
「さあ、行くわよ。ジュリエット。」
お母さんは此方を見ても挨拶もせずにステージの方へジュリエットを向かう様に促した。
親が親なら子も子だ。
スタスタと向かう2人を見てグレースちゃんも苦笑。
「礼儀が無いわね。」
そうボソッと呟いた。
ライバルと言えど家柄的に向こうから挨拶するのが通例。
ジュリエットがあんな風に育ってしまったのはお母さんが原因かもねぇ。
「気にせず行きましょう。」
グレースちゃんの手を取った。
「アリスねーさん。頑張るわ。」
私の顔を見て決意した瞳でグレースちゃんは頷いた。
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