第2話 初めての二人の下校
高校生活の一大イベントとも言える文化祭。その最終日に、人生初めての告白をして、成功した。今はその帰り道、僕らは普段から一緒に帰っていたが、恋人になった今は手をつないでいる。
「...」
「...ねぇ、石垣君」
「...なに?」
「石垣君って、どれくらい前から私のこと好きだったの?」
急な言葉にびっくりした僕は数秒だけ固まっていた。
「...六月の時にはもう好きになってたかな」
「そんな時期から私のこと好きだったんだ、ちょっと早くてびっくり」
「じゃぁ僕も聞くけど、宮島さんはどれくらい前から僕のことが好きだったの?」
「うーん...私は八月くらいかな、夏休みも一緒に過ごしていくうちに...って感じかな」
「そうなんだ、でもまさか両想いになってるとは思ってなかったな」
「そう? 私なんか今日告白されるのかなってちょっと思ってたもん」
「えっ、なんで!」
「いやだってほら、文化祭の最終日に空き教室に来てほしいなんて言われたら、それくらいしか思い浮かばないじゃん。不治の病の告白でも空き教室は使わないと思うし...」
「そ、そうなんだ...まぁ、そうだよね...」
ただでさえ初めての告白なのに、それとなくバレていたのはなんとなく恥ずかしい...。一度あの教室で見た夕焼けが綺麗だったんだもん...そこで告白したいって思うじゃん普通...
「ま、なにはともあれ私は好きな人と恋人になれてとっても嬉しいって思ってるよ」
「そういう恥ずかしいセリフを簡単に言わないで!」
そう思いつつ彼女の顔を見ると、夕焼けのせいか顔どころか耳まで赤い。なんだこの人かわいすぎる。
「...あ、もう別れる場所だ。それじゃ、また明日ね」
「うん、また明日。じゃあね」
「ばいばーい...っと、石垣君顔に何かついてる」
「どこ?」
「ここっ」
そういって彼女は近づいてきて、僕の唇にキスをした。
「えっ!なにやって!?」
「それじゃぁまたねーいしがきくーん!」
そういって手を振りながら走っていく彼女に、僕は手を振ることしかできなかった。
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