第58話
「そうですわ、先生。せっかくユーリが応援に来てくれましたし、訓練を私とお兄様の模擬戦にしていただけませんか?」
「模擬戦か……」
「僕はいいけど?
ユーリに僕のカッコイイところを沢山見てもらえるしね」
「うふふふふ。お兄様は現実を直視なさった方がよろしくてよ?」
「ムッ!」
「ユーリ。私の華麗なる双剣捌きをよく見ていなさいね」
「ああっ……。お二方が張り合って……! 恐れてた通りの展開になってるぅ……」
ふぉー!
ねえ様は双剣使いなのですね!
双剣を交差させて、シャッキーン!!サササササッ!くるくるくるー!て感じなのでしょうか?
かれいなる双剣さばき!
お胸わくわく、ドキドキしちゃいます!
「うーん……。心配な部分はあるが、まあいいだろう。但し、ルールを決めるぞ。
使用は勿論訓練用の武器のみ。攻撃魔術は使用不可。補助魔術は相手の体に直接かけるもの以外は使用可とする。
危険と判断した時は即座に中断させてもらう。
以上、何か質問は?」
「私はありませんわ」
「僕も特にないかな」
「よし。二人共、中央へ。俺が合図をしたら開始だ」
「うふふふふ。お兄様に私の双剣が躱せるかしら?」
「ふふふふふ。シア、君の剣、全て僕が斬らせてもらうよ!」
ふおぉー!
にい様もねえ様もやる気に満ちてますね!
お言葉と一緒に体をくるくるって回して双剣をにい様に突きつけるねえ様と、ふふふんって笑って剣を空中に投げてくるくると回って落ちてきたところを片手で軽く受け止めて構えをとるにい様が、すごくカッコイイです!
何か、ふぉー!って両手をぶんぶん振り回したくなっちゃいます!
これは、手に汗にぎる展開になりそうです!
僕も負けていられません。応援、精一杯頑張りますねっ!
ふんむっふんむっ!
「ユールリウス坊っちゃまの鼻息が、すごく荒いんですけど……」
「念願の訓練見学、そしてお二方の模擬戦で興奮されているんだよ……。
それよりも、ユールリウス坊っちゃまにいいところを見せようと張りきっているお二方が、何かやらかす未来しか思い浮かばないのがヤバすぎる……!
これ以上叱られ案件を増やしたくないんですよ、ほんとお願いします。穏便に、穏便にっ……!」
僕の後ろでカショウとティオールがごにゃごにゃなんか言ってます。
お声が少し大きいですよ?
お話しするなら僕から離れた所でして下さいね。
周りで大きなお声で話されると、集中して模擬戦を見ることが出来ないです。
僕には、にい様とねえ様を応援するという、大役があるのです。
だから応援のタイミングがずれちゃうと大変な事になっちゃいますからね、集中したいのですよ。
「カチョもチオーも、しー! でしゅよ」
「やっばっ! 可愛い……」
「ああ、やはり模擬戦を止めるべきか……」
むー!!
静かに出来ないなら、僕から離れてほしいです。
僕が動いてもいいのですが、模擬戦を見るにはここがベストポジションなんです。
やっぱり二人には動いてもらいましょう、うむうむ。
「カチョもチオーも、しー! むぢゅかちいみたいでしゅから、向こう行くでしゅよ!」
「えー! なんでですか!」
「ぼく、じぇんちんじぇんにぇいでにいしゃまとねえしゃまの応援しゅるでしゅ。
応援の邪魔でしゅ!」
「えー! 仲良く応援しましょうよー!」
「うりゅちゃ……」
「始めっ!」
ああー!
始まっちゃいました!
もうこうなっては二人を無視するしかないです。
にい様、ねえ様、僕これから気合い入れて全力で応援しますねー!
気合いだ、気合いだ、気合いだー!
ふにゅー!
頑張ってくださーい!!
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