第57話

「にいしゃま、ねえしゃま。お稽古ちゅりゅでしゅよ!

 ユーリが応援ちまちゅからねっ!」


 ふんむっ!

 僕は応援の為の気合いを入れました!

準備万端っ!これで、いつでも大丈夫です!

 さあ!

さあさあさあっ!


「その歳にして、訓練の大切さが分かるとは!

 これは、将来が楽しみだな!」

「そうでしょう、そうでしょう! ユーリは可愛いらしくてかしこい子なのですわ」

「そうそう! ユーリは僕の可愛い可愛い自慢の弟だからね!」

「普通は訓練より獣人の方が気になるのでは……?

 この国では獣人は珍しいはずなのですが……」

「怖顔に可愛い耳……。俺、獣人を初めて見たけど、違和感しか感じない……。

 あれをスルー出来るユールリウス坊っちゃまは大物なのか……」


 むー……。

みんなごちゃごちゃうるさいですよ!

僕の見学の時間が減っちゃいます!


「しぇんしぇいしゃま! お稽古ちてくだしゃい!」

「おおぅっ! そうだな! っと、その前に……。

 ユールリウス様、丁寧な挨拶をありがとう。俺は月熊族のビクトールと言う。お二方の戦闘指南役をしている」

「ふぉー! 熊しゃんでしゅか! 可愛いでしゅねー!」

「かわっ!?」

「先生を可愛いと言えるのはユーリだけだろうね……」

「そうですわね……。私も流石に先生を可愛いとは思えませんわ……」


 ……?

まんまるお耳、可愛いですよ?

 あのお耳はそう言われれば熊さんっぽいです!言われて納得ですね。うむうむ。

熊さんのまんまるお耳はチャームポイントだと思います。だから可愛いのです。

ぴょん太のお耳と違ったみりょくがあると思います。

ちょこんとしたお耳、あむあむってしたくなっちゃいます。

以前、エリーナがあむあむしたくなるって言ってたのが、何となく分かりました。

 確かにビクトール先生のお顔は怖いです。睨まれたりすると、ちっちゃい子は泣いちゃうかもしれません。

でもじーっくり、よく見ると、お目々は優しいのです。それに気が付けば全然怖く感じませんよ?


「いやー、この歳になって可愛いと言われるとは俺も思ってもみなかった。小さい子供にはよく泣かれていたからなぁ……。そんな俺が可愛い、か……。

 ユールリウス様、ありがとうございます。

 さて二人共、可愛い弟君と話しをして十分休憩できただろう? 弟君も楽しみにしている訓練を再開しよう」


 ビクトール先生はニヤリと笑って言いました。


「やっぱり泣かれてるんですね。それに何ですか、あの笑顔。あれ、絶対悪役でしょう……」

「ユールリウス坊っちゃまも流石に怖がって……ないっ!?

 なんか、めっちゃ笑顔なんですけど。目もキラキラしてるし……。しかもお尻ふりふりして、めちゃくちゃかわいいんですけどぉっ!?」


 ふぉー!!

これからはじまるのですね!ドキドキしますっ!

楽しみな想いが、体から溢れてきちゃってますよ!

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