第17話

「ちんめいをとちてがんばりましゅ!」

「ちんめい……? もしかして、身命か……?

 ユーリはどこでそんな難しい言葉を……。

 意気込みはもの凄く分かったが、身命を賭してもらうのはなぁ……」

「ふふふ。では、ユーリのやる気があるうちに質問させてもらうわね」

「あいっ! まかせるでしゅよ!」

「涙さん、涙さん。起きた時にユーリが泣いていたのは、どこか痛かったからかしら?」


 にゃむにゃむにゃむ……。

ほーほー。

僕は今、なみださんと会話中です!


「しょれはちあうにょろって言ってましゅ!」

「にょろっ!?」

「ユーリ、母様ちょっと分からなくて……。にょろって何なのかしら?」

「む? なみだしゃんのくちぐしぇでしゅ」

「涙さんの口癖……。そんなのあるのか……」

「か、かわいらしい口癖ね。それでは涙さん、どうしてユーリは泣いていたのかしら?」


 にゃっにゃ、にゃむにゃむに、にょろー……。

ふむふむ。


「それはぷえじぇんとないないだたからにょろー。って言ってましゅ……」

「プレゼント? シャル、ユーリに何か贈る約束していたかい?」

「いえ……。そんな状況ではありませんでしたし、特に約束はしておりませんわ」

「うーん……」


 とう様とかあ様が不思議そうにお話ししてます。

プレゼントはオリバー様からだから、とう様とかあ様が知らなくてもあたりまえなのです。

それにプレゼントは良い子のこどもにしかもらえないから、大人なとう様とかあ様が知らなくてもしょうがないのです。

 だから、なみださんにオリバー様のお話をするか相談します。


 うー、にゃむにゃむ……。

 なみださんはお話しした方がいいって言ってます。


「ぷれじぇんとはオリバーしゃまからもらえるはじゅだったにょろー。って言ってましゅ」

「えっ? オリヴァー殿……? そういう約束はしてなかったはずだが……」

「ええ。挨拶だけだったと、私も思いますわ」


 やっぱり、大人の人には分からないのかな?


「オリバーしゃまは、良い子にぷれじぇんとくれる人でしゅよ」

「良い子にプレゼント? そんな話は聞いたことないな……」

「ねぇ、ユーリ。それは誰に聞いたのかしら?」


 う?だれ……?記憶さんですよ?

うう?

そっかー。とう様もかあ様も記憶さんとお話し出来ないから、知らなかったんだね。


「きおくしゃんでしゅよー。でも、とうしゃまもかあしゃまもきおくしゃんとお話しできまちぇんね……。

 こまっちゃでしゅね」

「ユーリ。そのキオクさんと言うのは誰の事だい?」

「きおくしゃんは僕のなかにいりゅの……。うー? きおくしゃんは僕……?」


 記憶さんは前世の僕の記憶だから、僕になるのかな?


「うーむ。と言う事は……」

「そうですわね。夢か物語かと混同してしまっているのでしょう」


 むー。

 とう様とかあ様がこしょこしょお話ししてて、僕よく聞こえません。


「ユーリ。オリヴァー殿は魔術医であって、プレゼントをくれる人ではないんだよ」

「ふえ?」

「オリヴァー様は、お医者様なのよ。ユーリの体を診てくれたでしょう?」


 ふぉおー!?

そうでした、オリバー様は僕のお体診てくれてました!

お医者様でした!

でも、お医者様はプレゼントくれないのですか?

 ぬぬぬ……。記憶さんに聞かなくちゃ!

記憶さん、記憶さん。お医者様はプレゼントくれないの?

あのおじいさんはプレゼント配ってたよ?

 うにゅ?お医者様ではない?

え?お医者様はプレゼントくれないのですか!?

な、なんと!?


「ふぉおー!? おいしゃしゃまプレゼントくえないでしゅ……。僕、かんちあいちてまちた……。

 ふおっ!? 僕、わりゅい子じゃありましぇん!?」

「あら? ユーリは良い子ですよ? 悪い子って誰かに言われたのかしら?」

「ひゃあー! 僕、よい子でしゅー! かんちあいでちたー! きゃあー!!」


 僕、恥ずかしくなっちゃった。

起きた時、勘違いで泣いちゃったなんて……。

 かあ様がなみださんに聞いてくれなかったら、勘違いしたまましょぼーんでした。

 とりあえず、恥ずかしいのをごまかす為に、かあ様のお胸にぐりぐりしておきます!

ぐりぐりぐり……。

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