第15話

「あのさあ、今ってどういう状況なわけ?」


 ソファーに座っているねえ様に抱っこされて、良い子良い子と頭を撫でられている僕と、かあ様に良い子良い子と頭を撫でられてるとう様。

 突然こんな光景が目に入ったら、びっくりするかもですね?

 うー。

でも僕、ちゃんと説明出来そうにもないよ?


「あら兄様、見たままですわよ?」

「いや、それが分からないから聞いてるんだけど?」


 ねえ様の言葉に額を押さえる仕草をするにい様。

 そう、気がついたらにい様がお部屋にいたんだ!

いつの間に?って僕、ちょっとだけ驚いちゃった。

 にい様はお部屋の中の状況を見て、不思議に思ったんじゃないかなあ。

当事者の僕でもよくわかんないって思うぐらいだもん。

でもねえ様はにい様の疑問なんか放置して、僕の頭をずっと撫で撫でしているの。

 僕、撫で撫でされるの好きだから嬉しいけど、あまりされすぎるとハゲちゃわないかなぁって心配になるよ。


「にーしゃま、僕にご用でしゅか?」


 ここは僕の部屋だから、僕に用事があるんじゃないのかなって思ったんだ。


「ああ。ユーリが目が覚めたって聞いてね。すごく心配してたから、顔を見に来たんだ」

「しょれはありがちょごじゃます。僕もにーしゃまのお顔を見れちぇ、嬉ちいでしゅよ」

「ユーリッ! 僕の天使……。やっぱりユーリと会話をすると癒されるなぁ」


 カッコいいにい様のお顔が、なんか残念な感じになっちゃった……。

とう様のちっちゃい版って感じで、何時もは本当にカッコいいのに……。


 にい様の髪の色はとう様と同じ黒色だけど、ふわふわ。

お顔はキリッとしたカッコいいお顔です。キラキラの時のとう様と同じだよ。

瞳の色だけは僕と同じ紫色で、でも僕よりちょっと濃い感じかも。

 カッコいいにい様とお揃いなので、ちょっと嬉しいと思っている僕なのです。

同じ瞳の色だから、きっと僕も将来カッコよくなるのです!

 むっふー!


 それにしても今日はみんな天使、天使言い過ぎなのです。

天使がゲシュタルト崩壊します!

 うっ?ゲシュタルト崩壊ってなんですか?

ふむふむ。記憶さんの国の言葉なのですか。なるほどなのですっ!


「兄様、一つ訂正をお願い致しますわ。

 ユーリは兄様の天使ではなくて、私の天使ですわよ」

「はっ? シア、寝言は寝て言うものだぞ?」

「はあっ!? こんな可愛らしいユーリが兄様と一緒にいては、毒されてしまうでしょう?

 ご自身の事を鑑みてから、仰ってくださいますかしら?」

「それを言うなら、シアの方こそ……」


 僕が記憶さんとふむふむしてたら、にい様とねえ様が言い合いしてました。

けんかはダメです。がみがみはいいことじゃありません!


「もう、メーッ! でしゅ! プンプンけんかはダメでしゅ! にーしゃまもねーしゃまも仲良くちてくだしゃい!

 仲良く出来にゃいのは、わりゅい子でしゅよ!」

「ユーリ……」

「違うのよ、ユーリッ!」


 僕に怒られて、シュンとしたお顔のにい様に慌てているねえ様。

でも、二人はごめんなさいしようとしないので、僕は実力行使に出る事にしますっ!


「ねーしゃま、僕をはなちゅです! 僕はプンプンでしゅよ! 仲良く出来にゃい人とはいっちょにいれましぇん。

 僕、かあしゃまのとこに行くでしゅ!」

「そんなっ! ユーリ、待ってっ!」

「かあしゃま、むかえに来てくだちゃい」

「ええ、喜んで。兄妹は仲良くしなくちゃですものね」

「あいっ!」


 かあ様はねえ様から僕を受け取ると、抱っこしてくれた。


 ひゅふー。


 安定のお胸ふわふわです!

やっぱりかあ様のお胸が一番ですねっ!

ぐりぐり。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る