第13話

 何も言わずに、いまだにメソメソぐすぐすしてた僕のほっぺたに、かあ様がチュッてしてきましたよ!?


 はわわっ!?


 突然の事でびっくりした僕は、メソメソもぐすぐすも止まっちゃいました!

それを見たかあ様がクスクスと笑って、さらに顔中にチュッチュ、チュッチュとしてきます。

 あまりにもくすぐったくてそして、かあ様の僕の事が大好き!って気持ちが沢山感じられて、僕は嬉しくなってキャッキャ、キャッキャと声をあげて笑っちゃったんだ。

 だからさっきまであった悲しいって思いは、バビューンッ!て、遠くのお空に飛んで行っちゃいました!

 かあ様って、やっぱり凄いっ!!


「ふふっ。可愛い可愛い私の天使さん。ご機嫌は治ったのかしら?」

 

 きゃあー!


 恥ずかしくなって、かあ様のお胸にお顔をぐりぐり。でも、気になってチラチラと見ちゃう。

でもやっぱり恥ずかしいから、またぐりぐり。


「恥ずかしがり屋の天使さん。お顔を見せて下さいな」

「あいー! ちょとだけでしゅよ」


 かあ様にそんな事言われちゃったら僕、断れないです。

だから、さっきまでチラッとだったのをチラーぐらいにしてお顔を上げました。

すると、ニッコリと笑ったかあ様とお目々がバッチリ合っちゃった!


「きゃあー!」


 恥ずかしくなって、でも楽しくなって、またお顔を隠そうとしたら何故か体が上にあがっていくよ!?


 はわわわわっ!?


何が起きたのか分からなくて、バタバタしてたら、ぎゅって抱きしめられたよ?

 ほえ?


「こんなところで天使達が遊んでいるとは……。私も仲間に入れてくれるかい?」


 このお声はもしかして……って思ったら、やっぱりとう様でした!


「とうしゃ……!」

「おやおや。声が少し掠れているな。果実水でも飲むか?」


 果実水!甘々で美味しいのです!


「あい!」

「よし、カップを持っているからゆっくり飲むんだ」

「あい!」


 ごく、ごく、ごくごくごく……。

ぷっはー!


 本当にぷっはー!は出来なかったけど、僕の気持ちの中ではぷっはー!ってしてるのです。

そうした方がなんか、飲んだぞっ!て気がするからね。


「いい飲みっぷりだな!」


 そう言って笑ったとう様は、相変わらずのキラッキラの笑顔でカッコいいのです!

とう様はサッとカップを執事のマティアスに渡すと、僕をぎゅうーって抱きしめる。

 かあ様と違ってお胸カタカタだから息は苦しくならないけど、お顔をぐりぐりすると痛くなるのです。

 どれぐらい硬いかって言うとね、前、僕がとう様のお胸をバンバンッて叩いたらくすぐったいって笑われるぐらい硬いんだよ。

だから、とう様のお胸にぐりぐりはしないのです。

 でもね、かあ様と同じ様にぐりぐりされないのが不満なのか、僕がかあ様のお胸にぐりぐりとしてるとね、たまにとう様がしょぼーんって感じで僕を見てるの。

 どれだけ見らてれも僕、痛いの嫌だからね、しょぼーんってなったとう様がかわいそうだと思うけど、心を鬼にして気付かないふりをするの。

その代わりにね、とう様に抱っこされたらたーくさん、いーっぱい大好きだって伝えてます!

 とう様の事、かあ様と同じように大好きだもん!

 それを前にマティアスに伝えたら「ユールリウス坊っちゃまは小悪魔ですね」って言って笑われちゃいました。

 なんで笑われてるか分からなくて、首を傾げている僕に「お気になさらず、そのまま旦那様を振り回し続けてくださいませ」って更に言われたものだから、余計に分かんなくなって思わずうーってなっちゃったけど、マティアスが凄く柔らかく笑ってたから、まあいいかなぁって思ったのです。

 だって、マティアスのお顔が優しかったからね!

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