第6話

「それでは、ユールリウス様。診させて頂いてもよろしいですかな?」


 う?

 見るって何を見るのです?

僕、何も持ってないですよ?


「ユーリ。オリヴァー殿はお医者様だ。

 ユーリの身体が病気になっていないかを調べる為に、身体を診させて欲しいと仰ってるんだ」


 とう様の説明にそっかー!って納得しました。

お医者様なら、診せてって言ってもおかしくないよね。

 あれ? でも、お道具何も持ってないですよ?

ペタペタとか、あーん!ってするんだよね?

どこかに置いてあるのかと思って、お部屋をキョロキョロと見てみたけど、何もなかったです。

 どうやって僕の事調べるの?

だから僕は聞いてみる事にしました。


「オリヴァーしゃま、お道具ないでしゅよ? わちゅれたの?」

「ほっほっほ。心配してくれたのですな。

 大丈夫ですよ。魔術医が診る場合は道具を使わないのですよ」


 ふぉー!!凄い!!

お道具なくて分かるなんて!

興奮しちゃって、思わず両手をぶんぶん動かしちゃいました。


「しゅごいでしゅ! これがかっきてきって事なのでしゅね!」

「画期的……? ユーリ、何が画期的なんだい? それ以前に画期的なんて言葉をどこで……」


 とう様は僕が興奮している理由が分からず、困惑した表情で僕に問いかけてきたけど、最後はもにょもにょ言ってて聞き取れなかったよ。

 むー!

 とう様は何で分かんないのかな。

これは凄いかっき的な事なのに。

かあ様なら、僕の気持ちが分かるはずです!

そう思ってかあ様を見たら、ニコニコして僕を見てました。

うっ?ニコニコだけじゃどっちか分かんないのです。

 仕方ないから僕はどの辺りがかっき的か、とう様に説明してあげる事にしました。


「えっとね、ピカッてお目々を見りゅのと、お口ペタンあーんとか、お胸ペタペタお背中ペタペタしゅるのとか、ちょういうにょにゃくても分かりゅってしゅごい事にゃの!」

「ピカッてしてあーんとしてペタペタする……?」


 とう様が更に困惑した表情を浮かべているます。

しかも眉間に縦のお皺が一本増えちゃってる……。

 むー!

僕のかんぺきな説明で分かんないのなら、これ以上は何も言う事が出来ないよ。


「あなた、それ以上考え込んでしまいますと、泥沼に嵌りますわよ?

 疑問は尽きないでしょうが、オリヴァー様にも無理を言ってお越し頂いておりますし、まずはユーリを診て頂きましょう」

「ウィテナクス様。よろしいでしょうかな?」

「う、む……。そうですね、オリヴァー殿、お時間を使わせて申し訳ない。どうかよろしくお願い致します」


 いよいよ僕の診察のお時間がやってきました!

お道具使わずにやるのってどうするのか、楽しみです。

お胸がドキドキしちゃいます!

 あっ、でもあんまりドキドキしちゃうと、血圧っていうのが上がって危ないって言ってました。

う?誰が言ってたんだろう……?

分かんないけど、とりあえず危ないのです。

最悪、血管ピューッ!てなって、バタンッて倒れてバイバイしちゃうらしいのです。

 だから僕はお胸ドキドキを抑える為に、大きく息を吸って吐く事にします。

これでお胸がドキドキするのが改善するらしいのです。


スー……ハー!

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