第4話

「うがー! かあしゃまメッ!よ。 おむねフガフガくりゅちいって、ぼく言ったでしゅよ!」


 僕は断固抗議します!


 かあ様のお胸はぽよぽよでふわふわで大好きだけど、さっきのは駄目なのです!

 僕が窒息死しちゃうのです!

かあ様はやられた事がないから、僕の苦しみがわからないのです。

だから、僕がキチンと教えてあげないと駄目なのです!

じゃないと、また僕がお胸ふがふがくるしー!になっちゃうのです!


「まぁ、そう憤慨するなユーリよ。シャルもかなり心配していたんだぞ。

 勿論私も、だがな」


 ほえっ?


 とってもいいお声の男の人の声が聞こえました。その優しい声音の後、僕の頭をふんわりと撫でてくれる大きな手。

 誰だろう?

僕が見上げた先に居たのは……。


「とうしゃまっ!」


 僕の、とう様がいました。

サラサラの黒い髪に碧色の切れ長の目を細めて微笑んでいる、とう様が。

 おぉうっ!

とう様のお顔、キラキラしてますっ!


「ふふふ。ユーリ、さっき苦しかったのは父様の所為よ? 母様の上からユーリを抱きしめていましたからね」


 なんと!?

 これはとう様を注意しなくてはっ!


「とうしゃまメッ!なの! ぼくくりゅちいくりゅちい言ってたよ!」

「すまんすまん、ユーリ。つい嬉しくてな」

「う?」


 なんで僕が苦しいって言ってたら嬉しいの? なんで?


「ユーリよ。

 お前は五日間眠っていたんだよ。それが目覚めて、元気に動いているんだ。

 これ程嬉しい事はないよ」

「そうですよ、ユーリ。母様もユーリが目覚めてくれて本当に嬉しいのですよ」

「う?」


 え? 僕、そんなに寝てたの?

寝過ぎじゃないかなぁ?

 うむむむ……。

 僕はキリリとした表情を作ると、ペコリと頭を下げた。


「とうしゃま、かあしゃま、おはようごじゃましゅ」

「ああ、お早う」

「ええ、お早う」


 やっぱり、目覚めたら最初にご挨拶しないとね!

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