第2話
……。
………。
記憶整理の意味も込めて、誰もいないのに一人自己紹介なんかやってます。
混乱、してるのかな?
多分してる、かな?
実は自分でもよく分かってません。
でも、現状を確認する為に自分が誰なのかを認識するのは大事な事だと思うのです!
うむうむ。
そして自分が誰なのかの確認も終わったので、ベッドに戻ろうと思います。
実は僕、突然倒れちゃったみたいなのです。
あんまり覚えてないんですけど、最後?の記憶が下に流れていく景色だったんで倒れたと思うんです。
だから大人しくベッドの中にいないと怒られそうな気がして……。
鏡を見る為に、ベッドから抜け出して衣装室まで行ったから、ベッドに戻るのにちょっと時間がかかるんです。
衣装室といっても小さな部屋で、この部屋のすぐ隣なんですが大人ならすぐでも3歳の僕だと少し時間がかかっちゃうんです。
走っても「テッテッテ……」なんて音しか聞こえそうにもない走り方しか出来ないので。
こういう時、小さいと不便だなとつくづく思っちゃいます。
とにかく、誰かが気付く前にベッドに戻らないといけないのです。
鏡の前に長い間立っていた所為か、少し身体が冷えている感じもしますし……。
見つかったら絶対怒られちゃいます。
だから頑張って走ってます。
テッテッテ……という音を出しながら。
──コンコンコンコン。
「失礼致します」
ノック音のあと、声とともに一礼して女の人が入ってきました。
悲しい事にあと一歩足りず、僕はベッドによじ登ろうとしていたところでした。
むー……。無念です……。
「ユールリウス坊っちゃま!」
僕の姿を見た女の人が叫びます。
ううっ。
声にビックリした為、そのままズドンとお尻から落ちちゃいました。
ううっ……、ちょっとお尻が痛いです。
もう少し僕が早く走れれば見つからなかったし、落ちる事もなかったのに。
失敗です。
「お目が覚めたのですね! 良かったですっ……。早速、旦那様と奥様に……」
女の人が少し泣きそうな顔で僕を見てます。
なんででしょうか?
「ユールリウス坊っちゃま。ベッドでちゃんと横になって下さいませ。お身体を冷やしてはなりませんよ」
僕がベッドから出ている事に気づいた女の人が、慌てて僕をベッドの中へと戻します。
その際に僕の身体が冷えている事に気付いたのか、少し眉間に皺が寄ってました。
でもそれ以上怒られる事もなかったので良かったと思います。
「旦那様と奥様をお呼びしますので、それまでこのままでお待ちくださいね」
僕に念押しをするかのように言うと、女の人は出て行きました。
怒られなかったのはいいけど、このまま誰か来るまで待っているのは退屈です。
すぐ来てくれのかなぁ。
退屈をしのげそうなものも、この部屋にはなさそうです。
どうやって時間を潰そうかな。
何か考え事でもして……。
考え事……。
すやー………。
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