全体構成は映画っぽい雰囲気。まずは突き詰められた世界設定が衝撃のシーンと共に描かれる。細やかな人物相関があり。かなり作者は設定に凝るタイプ!という印象を受ける作品。
いわゆる、サバンナの野生動物の保護と管理をしているレンジャーの、ファンタジー版と言うところ。保護管理されるのは龍である。よくいるドラゴンとしての龍ではなく、特殊能力を持つ爬虫類といった感じであろうか。人に危害を加えたり、作物に被害を与える龍を追い払ったり、素材目当ての密猟者に目を光らせる。そんな存在が楊空艇【マリウレーダ】の面々だ。主人公ティムズが、そこに配属されてから物語は大きな一歩を進める。
文弱と言ってもいい新人ティムズは、ミリィという金髪の元気な美少女に全く敵わずコテンパンにされ、役立たず扱いを受けながらもメンバーの一人として徐々に馴染んでいく。個性豊かな周囲の影響を受けながら、彼はどんどんと目覚ましい成長を遂げ、やがてはレンジャーとしてはなくてはならない存在に。
ティムズの視点で、この舞台で繰り広げられる出来事と、ここで戦う人々を知っていく感じで、彼が成長していくにしたがって、出会う人や行く場所が多くなっていき、どんどん世界が広がっていく部分はRPGのよう。元がゲームの企画だったこともうなずける。
戦闘シーンは、カッコイイBGMが聞こえて来るほどの躍動感あり。複数登場人物とのコンビネーションが熱くて面白い!バディ感ある戦闘は秀逸。
主人公の葛藤、緊張シーン、重いシーン、息をつく笑い要素のある日常パートが絶妙に割り振られ、緩急があるため、一気読みをしても疲れにくいが、文章量が多く、すでに連載が長くなっている作品なので、これから追いかける価値がある。