第四節15終項「空艇飛翔」

「よっしゃあああああああ!!」


 未明、レッタの雄叫びが第四龍礁管理局本部に木霊した。


 この咆哮で153名の職員が目を覚まし、うち15名はいよいよF/IIIクラス龍の襲撃かと思ったと語り、それは遠く離れたレベルC外縁部の田園地帯で、朝早くから農作業に勤しんでいたバレック=モーダトンにも


「ヨッシャー」


 と、微かに聞こえた程だったという。


 ―――――――――――――


「レッタっ!どうしたの!?」


 部屋着(というか下着姿)のミリィが扉を弾く様に開いて飛び込んできた。

 夜間の見張りを終え、眠りに付こうと着替え途中だったところに、レッタの絶叫こえが聞こえ、大慌てで駆け付けたのだ。


「計算!飛べる!再起動!術式!」


 昂奮したレッタが、ミリィの肩を掴み、がくがくゆさゆさと揺さぶって、何かを訴える。またもや徹夜していたらしい彼女の血走った眼は爛々と輝いていた。


 縦に横に首が揺れるミリィの声が振動する。

「なっ、ななに、ななんなんなのっ……」


 ――――――――――――――


 一方、階下の居室でレッタの叫びひめいを聞いたティムズも跳ね起き、唖然として天井を見つめていた。レッタの声であることはすぐに判った。何事かが起きたらしい。


「……レッタ……!?」


 慌ててベッドから降り、ズボンに足を突っ込み、体勢を崩して転んで肘を強かに打ち、また立ち上がったティムズに、寝転んだだままのタファールが億劫そうに声を掛ける。


「んん……ほっとけ。どーせまたいつものヤツだよ、だいじょーぶだって……」


 だが、あのレッタの大音声だいおんじょうが「大丈夫」とはとても思えなかったティムズは、タファールを無視して部屋を飛び出した。

 廊下を蹴り駆け、階段を飛ばし上がりし、女性隊員専用のフロアの廊下をまた疾走し、レッタの部屋の半開きになったドアを押し開け……


「レッタ!一体何が……」


 ティムズが目にしたものは、ぼっさぼさの赤茶髪のレッタが、下着姿のミリィの肩を掴んでがっくがくと揺らし、何事かを喚いている姿。

 レッタの形相に気を取られていたティムズは、半裸の女性を把握するのが一瞬遅れる。普段束ねている金髪を下ろしていたせいもあり、それがミリィだと認識するのにも時間を取られた。


 決して意図した訳ではない。意図した訳ではないが、先ずはレッタの安否を確認しようとしたことが仇となり、更に先客の正体を探ろうとしたことで、結果的に、ティムズは、ミリィの後ろ姿を凝視してしまう事になったのだ。


 そして悲しい事に、本能的にティムズの目は、吸い寄せられる様にミリィの背中、腰、脚『など』へ向けられる。本能的なので仕方がない。普段の制服を着用している肢体は細い印象があるが、それなりに鍛えられた下半身は引き締まっており、ティムズは「思ったより脚太いな」などという余計な感想を持ったのだった。

 一瞬の事である。


「……!……っ!!……!!!」


 振り返ったミリィの顔がみるみる赤く染まった。

 

 ―――――――――――


 先程の不思議な声に困惑し、辺りを見回していた農夫・バレックに、再び

「キャー」という響きが聞こえてきた。ような気がした。


 ―――――――――――☆



「あはははははははは!あははは!あぁーはははははははは!」


 事の顛末を聞いたタファールがティムズの顔を指差しながら、且つてない大爆笑に悶えて、談話室の絨毯に崩れ落ちている。


 暖炉の前の肘掛椅子に、腕を組んで、憮然とした表情のティムズが座っていた。

 鼻には赤色が滲んだ綿が詰められている。ミリィから渾身のパンチを頂いたのだ。


「うるさいよ、何がそんなに可笑しいんだ。いつまでもゲラゲラと」

 ティムズがタファールをじろり睨み、険悪な声を出す。完全に馬鹿にされているとしか思えない。


「だって!だってさあ!出来損ないの猥雑な喜劇じゃねえんだから…!ぷっ……がはははは!あぁー!ひい、死にそう!しぬう!あっははははは、あーあははは!」


 タファールからすれば、大真面目に飛び出していったティムズが、鼻血だらだら、意気消沈し戻って来たのを目の当たりにした事になる。それは画劇の手法そのものであり、その裏にはありがちな展開があって、まさかそれを本当にやってのけるという偉業を達成したティムズに対して、最大限の敬意あくいを込めて笑っているのだ。


 パシズは弟子達のあまりにくだらない話に頭を抱えていたが、どこかのタイミングでふっ切れたらしい。あからさまに笑いこそしないが、口元に拳を当ててティムズの顔の大にに目を止めては、目を伏せて肩を震わせていた。


 レッタも先程まではタファールと一緒になって腹を抱えて笑い転げていたが、流石にもう落ち着いたらしく、というかそもそもの原因を作ったのは自分ではないかと反省し、ティムズと対を成して部屋の反対側で背を向けて座っているミリィを宥めようと頑張っている。


「ごめんごめん、私のせいよね。いやあ、ほんとごめん」

「…………」

 ミリィ、顔まっかっか。

 ティムズに悪気が無いのは承知していても、思いっ切り下着姿を見られてしまった事と、思わず手を出してしまった後悔で気恥ずかしい。



「はー、はーあ、はあっ……悪い悪い、もう流石に笑いつか、れ……」

「びゃあー!はっははあははははは!!」


 息を切らしながら腕で涙を拭い、タファールもティムズにフォローを入れるべく、笑いを収めようと頑張ったが、ティムズの顔を見るなり奇声を上げてまた爆発した。



「な……何だ?どうした、一体何をしているんだ……」


 レッタの報告を受けてやって来たピアスンが、この部屋の様相に大いに困惑した声を上げるまで、タファールの人生最高の爆笑は続いたのだった。


 ――――――――――――――――


 閑話休題。


 ティムズとミリィの事はさておき、談話室にマリウレーダ隊が集まったのは、楊空艇マリウレーダ復帰についての、重要な話がなされるからである。


「それでは、マリウレーダはいよいよ……」

「ええ、再起動に必要な計算は全て終えました。理論的には正しいはずです。機関部に火が通ればすぐにでも飛べますよ……!」


 待ち望んだ報告に期待顔を見せるピアスンを遮り、レッタが自信に満ちた笑顔を浮かべる。


 難航していた楊空艇マリウレーダ基部の霊基駆動術式の理論の、全てでは無いにしろ、その一部の解析が完了し、マリウレーダの再稼働、及び試験航行テストフライトの日程が五日後に決定された。これにより一時的に地上勤務として各部署に散らばっていたマリウレーダ隊はその任を解かれ、再び空に戻る事となる。

 

 時を同じくして、龍礁南部の港にファスリアからの物資が到着するという事もあり、マリウレーダのテストフライトはその物資群の輸送も兼ねる事となった。


 マリウレーダ隊の復帰は、多少の余計な雑事で混乱したのち、この様な形で実現した。


 ――――――――――――――――


 タファールがティムズの顔面の怪我について「これも任務中の負傷と言える。だから上層部に上げる報告書に詳しい経緯を載せるべきだ」と息巻いたが「そんなことしたらあんたの鼻の骨を折ってやる」「じゃあ私は腕を」とミリィ、レッタ両名に釘を刺され、挙句にパシズまでもが「では俺は俺と同じ左足を」と言い出したので、その件については諦めた……かに見えた。


 事の次第が明るみに出たのは翌日からだ。

 ティムズは一時的に、若い男性職員たちの英雄になっていた。


 そこかしこでこの件を爆笑しながら話し回る男が居たらしく、犯人はまあどうせアイツな訳だが、経緯はどうあれ、ミリィの……おしり、を拝観奉らせて頂いた者として、ティムズはまるで教祖の様に敬われ、崇拝され、細かく具体的に聞き出そうとする連中に囲まれていた。


「やったなオイ!」とか

「で、どうだったん?どんなんだったん?」とか


 尾ひれがついた噂は「ティムズがミリィを襲った」などという所までエスカレートし、流石にこれは洒落にならず、真に受けた龍礁法務部が本当に調査に乗り出しかけたので、話を広めた犯人タファールが衆人環視の下でパシズに鉄拳制裁を喰らい、この件はようやく沈静化したのだった。


 五日間の日々は、ただ待つだけならば長すぎたが、この一連の騒ぎによってあっと言う間に過ぎていったのである。



 ――――――――――――――


 そして、いよいよテストフライトの当日。

 木台によって発着場に搬出された楊空艇マリウレーダの蒼い機体が、数か月振りに浴びる日光に照らされて輝く。


 格納庫前でピアスンから訓示を受けた一同は、マリウレーダ機体下部の格納庫から搭乗し、ブリッジでプリフライトチェックを行っていた。


 ティムズは以前に軽く内部の見学をした事はあったのだが、ブリッジに立ち入るのは初めての経験で、ブリッジの後方片隅に立ちつくし、レッタやタファールが複雑な操舵式を次々と展開している様を口を半開きにして眺めていた。


「目視点検は異常無し。装備品の漏れも無い」


 楊空艇内部の装備、備品の確認に回っていたパシズと、それに付き従っていたミリィが戻ってきて、ピアスンに報告する。


 この五日間、ティムズとミリィは会話らしい会話は交わしていない。勿論例の件のせいであり、気まずい感じが続いていたが、初めてのフライトに心躍るティムズは一時その事を忘れ、飛翔の手順を踏むクルー達と、彼らが扱うマリウレーダの制御系統の仕組みに興味を持って行かれていた。


 ミリィはそんなティムズの横顔をちらりと見る。



「タフィ、霊基回路の顕在構築。一番から四番へ順次展開」

了解りょうはい……やめろよ、そのタフィって言うの。犬じゃねえんらから」


 二つある操舵席の片方に座り、霊基機関点火イグニッションエントリーを進めるレッタが背中で声を掛け、顔が腫れあがったタファールが同じく背を向けたままつっけんどんに返す。パシズの制裁のあとだ。喋るととんでもなく痛むらしく、いつもの饒舌さは鳴りを潜めているが、他のクルー達にとってはそれくらいが丁度良いと思われている。


「判ってんらぞ、ムーベリアれは蔑称なんらろ、それ」

「船長、全て問題ありません。主機関の起動をお願いします」

 タファールを見事に無視したレッタが後方のピアスンに振り返る。

 ピアスンは頷き、船長席の前に設置された制御版から展開した術式に指を走らせた。


 軽い振動と共に重低音が轟き、その音が収束して高く、細くなっていく。


「よし、では……行こう」


 久々に感じるマリウレーダの息吹に、ピアスンの気分は高揚していた。

 逸る気分を落ち着かせるように息を吸い、多少勿体付けると、凛とした表情を前方に向け、振り絞るように号令を出す。


「……発進!」


 高まる駆動音が一瞬途切れ、金属が弾き合うような高い衝撃音が響く。

 可変翼を制御する歯車が噛み合う音や機関が術式を放出する音が一つのうねりとなり、機体全体を包む。


 初めての飛翔に気分が盛り上がり切ったティムズが、機体が地を離れた瞬間、自分の身体そのものも浮き上がったような錯覚に思わず「おおぉっ」と破顔する。


 そして、楊空艇マリウレーダは、実に5か月ぶりに、再び空へと舞い上がった。


 ―――――――――

 

 ティムズは思っていたよりはその後の感動が小さく、少しがっかりしていた。

 直接の視界は主に前方にある窓と、後方脇にある小さな覗き窓でしか確保されておらず、航行中の外の様子は、ほぼ全てが制御盤に表示された法術式でモニターされているらしく、レッタとタファールにとってはそれで充分らしかったが、ティムズはもうちょっと空を飛んでいる、という実感がほしいと思う。


 クルー達が制御盤の術式を弄り、航行中のデータに異常がないか確かめている中、

 ピアスンに声を掛ける。一旦飛び立ってしまうと、船外活動員としてはやるべき事は、実はあんまりない。楊空艇の操縦に関する知見がないティムズにとっては尚更だ。


「すいません、ちょっと甲板に出てきてもいいですか」

「うむ、構わんよ」

「ありがとうございます。じゃあ……行って来ます」


 ピアスンはあっさりと許可した。ティムズの申し出の理由はよく判る。

 月並みな話だが、つまりは「風を感じたい」のだろう。


 ティムズが後方の扉から出ていく様子を横目で追っていたミリィが、ティムズが出て行って暫くしてから、同じ様に「あの……」と口を開いた。


 ――――――――――――――――――――――――


「………」


 上部甲板に出たティムズは、木柵に手を掛け、溜息を吐く。

 景色を満喫しようと甲板に出たものの、周囲に取り付けられている翼や防御装甲板などの構造物が邪魔をし、なかなか見通しの効く場所を見つけられなかった。


 龍礁で用いられる楊空艇はあまり高度を取れない代わりに、瞬間的な速度を得られるように設計されている、とレッタに聞かされている。機体各部には様々な形状の翼が取り付けられているが、それは空力特性によって揚力を産むものではなく、あくまでも空中での姿勢維持、機動を補助する為のものであるらしい。


 レッタ曰く「機関はある種のエネルギーの力場を形成し、空間に放出する事によって推進力を得る。要するに大規模かつ継続的に発揮される跳躍術の発展形と思われる」との事だが、正直ティムズは話の半分も理解出来ていない。ただまあ、とにかく飛んでいる。それが今のティムズにとっての確固たる事実だ。


 飛翔による強風に煽られながら甲板上をうろうろしていたティムズは、やがて翼のメンテナンスに使われているであろう、細い通路に上がる階段を見つけ、登る。そこは視界を遮るものがなく、期待していた以上の景色を見渡せた。

 

 時刻は既に日没近く。

 ロロ・アロロとの激戦を思い出させるが、ゆっくりと穏やかに流れていく光景はその戦いの記憶とは何一つ一致しなかった。果てしなく拡がる森林と丘陵、オレンジを帯びた空。夏特有の積乱雲の天辺が、太陽の最後の光を浴びて白く輝いている。

 

 景色に見惚れていると、とん、とん、と静かに階段を登ってくる音がする。ティムズが振り返ると、無表情のミリィが立っていた。


「……やあ」

「……どうしたの」


「景色を見たくなったんでしょ?私も初めて飛んだ時は同じことを考えたから」

「ここからが一番良い景色が観れる、って伝えに来たんだけど、大丈夫だったね」


 景色を眺めながら呟いたミリィが振り返り、ティムズの立つ場所に目を止める。


「……2年前、私も丁度そこに立って、同じ景色を見てた」

「ここ?」

「そう。本当に全く同じ場所。……柵の裏側を見てみて?」


 促されたティムズは身を屈め、柵の裏を覗き込む。

 そこには、控え目に小さく刻まれた彼女のイニシャルと日付が見えた。


「レッタには怒られそうだけど、どうしても残しておきたくなっちゃってさ」

「大破と修理で交換されちゃうんじゃないかって心配してたの」


 ティムズは立ち上がり、夕暮れに包まれる森の海をまた見つめて笑う。

 季節風に吹かれる樹冠はさざ波の様に揺れ、正に樹海と呼ぶに相応しかった。


「気持ちは判るよ。こんな景色を見たら、誰だってその感動を残しておきたいって気分になる」

「うん、そう……そうよね、やっぱり」


 ミリィは安心した様に笑みを浮かべる。

 色々な出来事があって、くだらない事件もあって、すれ違う事があったとしても、少なくともこの光景に対する思いは共有してくれたと思えた。

 

 ティムズは景色に目を留めたまま、小さく、しかし決意した様に呟く。

「……俺も同じ様に、思い出を遺して行っても良いかな」

「そう思えるだけの価値が、ここにはあるから」


「……え?」


 ティムズは、言葉の意味を捉え切れず戸惑うミリィに振り返り、眼をじっと見つめた。やがてミリィもティムズの意図を察して、静かに応える。


「……うん、いいんじゃないかな」

「ありがとう」


 微笑んでティムズはまた屈みこみ、再び彼女が刻んだ思い出の跡を見る。

 ティムズは少し躊躇ったが、短刀を取り出すと、彼女のイニシャルのすぐ隣に自分の頭文字と、今日の日付を刻み、嬉しそうに笑った。


「良かった。これで同じ思い出ができた」


 ―――――――――


 ブリッジでは、顔がボコボコのタファールが憮然としたまま各種動作テストを続けていたが、ふと呟く。


「船長、そろそろ、いいすか」

「……ああ、許可する」


 ピアスンが、を了承した。


 ――――――


「……っ!」

「!?」


 甲板上で、会話の途切れたティムズとミリィの目の前に、突如として光の粒子が現れ、瞬きながら広がり始めた。一瞬は龍の襲撃かと警戒する二人だったが、光はマリウレーダ自身から放たれたものだと気付き、色とりどりの光が次々と踊り、散っていく光景に目を奪われる。


 観艦式やパレードなどの式典用に、本来、対龍装備として使う攪乱光術フレアを応用し、見栄えがするように調整されたものを、タファールが今まさに起動していた。夕陽が落ち、空がオレンジから次第に黒ずんでいく中で、その輝きは明るさを増し、極彩色の星がマリウレーダと、二人を照らす。


 まるで花火の真ん中に飛び込んだかのようだった。

 その中心に、二人は居る。


 突然の光景に呆然としていたミリィが、やがて、ふっ、と笑いを漏らす。


「……攪乱光術フレア……担当はタファールだったかな」

 そして、小さく呟いた。

「……綺麗」


 マリウレーダは低速で飛んでいるとは言え、飛翔の風圧は強く、彼女の跳ねる髪を揺らしている。その瞳には攪乱光術の光が反射し、輝いていた。


 『花火』に心奪われているミリィの横顔を見ていたティムズはふと気付く。


 ――自分は、今まではずっと、ミリィのこと、を見ようとしていた。

 いつだってミリィの「後ろ姿」を見ていた。追う相手として、手を伸ばしても届かない相手として、ミリィはいつもティムズの遥か前に居た気がする。


 だけど、今は。隣に居て。


 彼女が、見ているもの、を

 一緒に、見ていたいと思った。

 同じものを見て、同じ想いを抱きたいと思った。


 ティムズは顔を上げ、ミリィと同じように、虹色の攪乱光術フレアプリズムが舞う空に目を向ける。


 やがて、光の舞劇は終わり、早晩の明るい闇と共に、マリウレーダの機関音と、空を切る軽い風切り音が戻って来た。


 二人にはタファールの真意は判らなかった。ただ単に偶然、この機能のチェックの為に作動させただけなのかも知れない。もしかしたら景色を見に甲板に出ていったふたりへ、ついでにちょっとした余興を提供したのか。それはここ数日の騒ぎの引き金を引いたことへの彼なり謝罪の印のだったのかも知れない。



 ―――――――――――――――――



 ティムズ=イーストオウルがマリウレーダ隊の一員として、第四龍礁に属する龍礁監視隊員レンジャーとして、そして一人の男として、揺ぎ無い意思を携え、短くも波乱の日々に身を投じる事を運命づけられたのは、この日、この瞬間だった。







         第四龍礁テイマーズテイル  

           第四節『空挺飛翔』

                   了

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