ひきこもり日記

今日梨食べた

第1話 ひきこもり、過去を振り返る

私は俗にいうひきこもりだ。


 高校を卒業してから大学に行くわけでもなく、就職するわけでもなく、ただひたすらに自室にひきこもりゲームをしていた。

普通のひきこもりならお金がなくなれば働かざるを得なくなりひきこもりをやめることができるだろう。

でも私は他と違う。


時は遡り5年前


 中学生の頃、渋谷でモデルとしてスカウトされた。

11歳の頃事故で両親をなくした私にとって唯一の家族は高校を卒業した後就職して家を支えてくれている兄だけだった。

私は乗り気ではなかったがこれ以上兄に迷惑をかけまいとモデルの道を歩んでいった。

小さな雑誌からだったが高校2年までの5年間きっちりと頑張っていたおかげでお金をそこそこ貯金することができた。


でもこの経験で失ったものがある。

中学生からずっとモデルをやっていた私はゲームなどの娯楽をせずただ仕事をこなすだけのつまらない人生だけを送ってきた。

みんなが通ってきたであろうゲームをしたり、アニメを見るという素晴らしい経験をせずにここまで生きてしまったわけだ。

私はこのことをいつかしたいと思っていた。


高校3年になった時私は受験勉強に専念するという理由でモデルをやめることにした。

みんなが受験勉強や就職活動をする中自分は新しい人生の第一歩を踏み出した。

モデルをやっていた時の貯金を残していた私は受験勉強をして大学生になるよりも今までできなかった素晴らしい経験をして人生を楽しんでいこうと決めた。


この時の自分は今まで生きてきた中で最高のひと時だったと思う。

まずはゲーム、初めてゲームセンターに行った時の感想はうるさい場所、だった。

右も左もわからないまま私はゲームセンターで当時流行っていた音ゲーを遊ぶことにした。

最初は操作もわからず何が楽しいのかさえ分からなかったが通い遊んでいるうちに上達していき音ゲーの沼にはまっていった。


音ゲーをきっかけにしてとあるアニメの曲にはまってしまいアニメも見始めた。

今まで見たアニメといえば子供向けアニメだけだった私は細かなキャラ設定と濃縮された素晴らしい描写にくぎ付けになっていった


とあるMMORPGが舞台のアニメをみてからMMORPGをやりはじめるようになった。

当時モデルの仕事のためにノートパソコンをもっていた私だったがそれでは満足できずMMORPGを快適に遊ぶためのゲーム用パソコンいわゆるゲーミングPCを買うまでに至った。

ちなみにMMOBPGというのは『大規模多人数同時参加型オンラインRPG』の略でここ数年で流行ったゲームジャンルである。


こうして私は家の中でするゲームにはまりアニメを見る生活、俗にいうひきこもりというような存在になっていった


 ところで私は今どうやって暮らしているのかだが。

答えは簡単だ。兄と二人暮らしだったが兄が24歳の時、私が高校1年生だった時に兄は当時付き合っていた子と結婚しローンで新しく二人だけの家を建てた。

兄は両親がもともと住んでいたこの家を私に譲ってくれたのだ。



自分だけの部屋、自分だけの家を持った私は自分の色で自分の空間を染めていく。

こうして今日も特殊なひきこもりの一日が始まる。






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