第7話 こっちだよ

キッチンの扉に耳を傾ける。

誰もいない様子。


朝輝「開けるぞ。」


沙里奈「うん。」


朝輝が静かに扉を開けて誰もいないことを確認する。

そして二人でキッチンに入りさっき隠れた場所の扉を開くがあの二人はいなかった。


沙里奈「どうしよう…。」


朝輝「探すしかないだろ。とりあえず作戦たてるために一旦この家から出ようぜ。」


沙里奈「逃げたいだけじゃないの?」


朝輝「違うって。とりあえず逃げ道確保しとこうって話。」


二人を置いて外には行きたくなかったけれど、

私たちが見つかってしまったら二人に迷惑をかけることになる。

朝輝の意見を飲むことにした。


今は畑には人がいないはずなので玄関から出ることにした。


足音は相変わらず二階でバタバタと歩いて今のうちに出ようと玄関を開ける。

が、なぜか玄関が開かない。

玄関には鍵のような作りはない。


朝輝「俺がやってみる。」


朝輝もグイグイ押したり引いたりするが開かない。


朝輝「どうなってんだこれ。」


沙里奈「窓探そう。あっちの奥の部屋は入ったことないよ。」


書斎の奥の部屋はベッドルーム。

見たことがない大きいベッドが一つ置いてあった。


その横には窓があった。


朝輝「ここから出れるじゃん。」


この窓はぐるぐると回すタイプの窓。

回すたびにキュルキュル言うので心臓に悪い。

早く開いて。


朝輝がボロボロの網戸を外す。


朝輝「先に出なよ。」


沙里奈「ありがとう。」


少し狭いが通れなくはない。

少し高いところから地面にジャンプする。


よいしょっと朝輝も外に出た。


「イヤァァァァー!!!」


二人で外に出た瞬間、女性の叫び声が聞こえた。

茉莉奈の叫び声なの?

いつもおとなしくて大きい声をあまり出さなかったから始めて茉莉奈の叫び声を聞いたかもしれない。


朝輝「茉莉奈か?」


沙里奈「多分、上から聞こえたよね?」


朝輝「だよな、なんであいつら上にいってるんだよ。」


沙里奈「行こう。」


朝輝「行くけど、どう助ける?」


沙里奈「もう強行突破しかないって。」


朝輝「武器になるもんないのかよ。」


沙里奈「ないよ!家に戻って探しながら茉莉奈たち助けよ!」


朝輝「わっかたよ。お前は俺の後ろにちゃんといろよ。」


朝輝はまたあの窓から家の中に戻る。


怖いけど…、

みんなで帰るんだ。


朝輝が手を伸ばす。

私を引っ張り上げた。

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