第3話 繋いでも無駄

AM 10:00


茉莉奈「おはよー!」


朝輝「おはよー。」


雄大「2人ともおはよう。」


沙里奈「おはよー。本当に行くの?」


朝輝「行くに決まってんじゃん!ほらほら行くぞー。」


茉莉奈「いえーい!」


みんなノリノリで魔女の館に向かう。

なぜそんなに乗り気になれるのか正気を疑う。


歩いて20分、周りはだんだんと家がなくなってきて人通りも無くなってきた。


茉莉奈「まだ着かないの?」


朝輝「あの坂の上にあるって噂は聞いたけど。」


茉莉奈「あれ登るの!?」


急に現れた坂、角度はきつく上がるのに時間がかかりそうな長い坂だった。


沙里奈「登山じゃん。」


雄大「ま、ここまできちゃったんだしもう少し頑張ろう?」


茉莉奈「はーい…。」


朝輝「雄大競争しよ。」


雄大「いいよ。」


朝輝「用意、ドン!」


2人はダッシュで坂を登り始めた。

登るだけで疲れそうな坂なのに走るなんてアホらしいな。


茉莉奈「頑張れー!(雄大)」


沙里奈「茉莉奈も頑張りなー。」


茉莉奈「こんな坂書いてなかったよー。」


ムスッと文句を言いながら坂を登っていく。

確かにメッセージでは書いてなかったな。


でもこんな坂上まで登ってきた人って居るのかな?

車使えばなんてことないんだろうけど

生活をしていくには不便な土地。

今では魔女がいるという根拠のない噂でもここに住もうという変わり者はいないらしい。


茉莉奈「なんか土の匂いしてきた。」


沙里奈「畑があるのかな?」


やっと頂上に着いた。

そこには思った通り畑が広がっていた。

左にはあの噂の館と思われる家。


登ってきた坂を見てみるとちょうど歩いてきた道が全て見えるとても見通しが良い土地だった。


朝輝「ここ…だよな?」


雄大「そうっぽいね。」


茉莉奈「なんか雰囲気あるー。」


沙里奈「なんか危ない感じぷんぷんじゃない?」


70年以上ここに立っている館は、

老朽化が激しく進み歪んでいるのか

キィキィと物音を立てている。


雄大「どうする?中見る?」


朝輝「せっかくきたんだから入るでしょ。」


茉莉奈「雄大くんと手繋ぎながらだったら茉莉奈いくよ。」


雄大「いいよ。沙里奈ちゃんは?」


朝輝「俺と手繋ぐか?」


沙里奈「やだ、1番前はやだ!」


朝輝の上着の背中部分を掴み朝輝を前に出す。


朝輝「じゃあいくぞ。」


みんなで静かに館の中に足を踏み入れた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る