4品目 精魂こめて握り寿司
バレンタインデーの夜
それは、春の訪れを匂わせる、暖かな小雨模様の晩のことでした……。
二月十四日です。
そうです、いわゆるバレンタインデーです。
女の子が、ちょっとだけ勇気を出したり、愛想を振りまいたりする日です。
あんまりそういうのとは縁無く、今までわたし、生きてきましたけど……。
「あっ、あのっ、これ! 食べてもらえませんか!」
わたしは一つの勝負に出たのです! 出たのでした!
目の前にいるのは、どう見てもわたしなんかにはもったいなさすぎな不釣り合いすぎな、(多分)社会人のお兄さんです。ちょっと顔色が悪いです。ちょっとヒゲが濃いだけかもしれません。髪の毛が濡れてます。この人が誰なのかは、後で言います。
と、とにかく!
わたしはとても必死でした。なんとか受け取ってもらえないかと必死でした。
あああ、なんと無謀だったことでしょう。無謀すぎでした。
これには、深い
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。