腹ペコ手作りギョーザの完成です!
がくりと膝を折ったわたしでしたが、つまみは無くとも、飲むものは買ってきてたのを思い出しました。えへへ、そうです、お酒です。空きっ腹にビールはさすがにきついので、チューハイをひとつ開けました。缶から直接いきます。
ぷはー。
断食明けで初めに口にするのがお酒とは。沁みます。人間とは、かくも罪深い生き物なのです。時計を見ると、十時十五分くらいでした。ここまで無駄が無いですね。さて、ちゃっちゃと始めないとです!
罪深い叔父さんにほめられた罪深いサイドテールをほどいて、頭のてっぺんでお団子にしました。気合いの表れです。
『料理の初手は、お湯を沸かすこと』
とても有名な言葉です。含蓄に溢れてます。わたしが考えました。ギョーザ作りではそんなに使わないんですけどね。
愛用してるティファールの電気ケトルにちゃちゃっと水を入れてカチッとセットしたら、ボウルに小麦粉をわわーっと出します。薄力粉だけでも普通にできますからね、ギョーザの皮! んー、このくらいでいいでしょうか。そうしたら、塩をちょっとだけ入れておきます。小さじでおまじない程度にです。
そうこうしているうちにお湯が沸きますから、これをびゃーっと小麦粉に注ぎます。わー! 入れ過ぎです! そうなんです、ここでお湯を入れすぎてはいけないのです。
すかさず小麦粉を足しまして、事なきを得ます。菜箸でぐるぐる混ぜて、全体がボソボソな感じで全然大丈夫です。
次第に水分が行き渡って、そのうちまとまってきますから。そうなってきたくらいには、手でこねても大丈夫なくらいに冷めてるはずです。
そうそう、お湯を使うのは、グルテンをしっかり形成させるのに重要なのです。ここ、すごく大事なところです。
生地がまとまりましたら、ラップで包んで常温で放置です! ……ちょっと多いですね、これ。
生地を寝かせてる間に、ギョーザの餡を作ります。うちに一個しか無いボウルが大活躍です!
豚挽肉に塩コショウします。料理酒、醤油、ごま油、チューブしょうが、にんにくチップをちょこちょこ加えて練っておきます。これで味も香りも引き締まります。立体感が出る感じです。
にんにくもチューブタイプのがお手軽ですが、ちょっとにおいがきつく感じます。わたしが愛用しているのは、S&Bのローストガーリック(あらびき)です。小瓶に入っていて、コショウを振るみたいに手軽に使えて、すっごく便利なんです! とっても香ばしくって、いやな臭いが残りません。おすすめです。
そして次は、野菜の出番です。白菜と長ねぎをみじん切りにします。
長ねぎじゃなくてニラを使うのが普通みたいですが、わたしは長ねぎ派です。年中売ってますし。
どのくらいまで細かく刻むかは、お好みです。ちなみにわたしは、野菜の水気を絞るのは面倒なのでやりません。なので、気持ち細かめに刻んでおきます。
あ、白菜も、代わりにキャベツを使う人が多いみたいですね。今は冬ですから、断然白菜だと思いますネ。思うアルヨ。
はいそして、肉をこねたボウルにざざーっと入れて、混ぜます。こねます。こねこねします。
このこねこね具合も、食感その他に影響します。わたしは、あまりこねすぎないのが好きです。やった! これで餡のできあがりです! うん、ちょっと多いですね! これ!
はー……ここまでかなり手際よくやったつもりでしたが、もう十一時近いです……思ったより多く作っちゃいましたからね……だって、挽肉はすぐ傷んじゃいますから、全部入れるしかないんです……皮の生地も多くなりましたから、バランスは取れてると思います……。
もうここまできたらしょうがないです! 意地でも全部、使い切ってやります!
野菜を切ったまな板を洗って水気を切って乾かしてる間にもう一本チューハイを開けて、打ち粉(小麦粉です!)をふるって寝かせておいた生地を棒状に伸ばしてぱかぱか切って、一個一個丸めて麺棒で伸ばしますと、皮ができます。
あまり薄いと破けますし、あまり厚いと包みづらくなります。真ん中に少し厚みを残しておくといいみたいですが、今のわたしは腹ペコなのでそんなの構ってられません! ひたすら皮を大量生産します。何枚作ったか数え切れませんでした。
皮ができました! よし、包みますよ!
皮を一枚一枚手のひらに取りまして、餡をスプーンですくって載せまして、水をつけてひだひだを作りながら閉じていって、ギョーザの形に包んでいきます。
欲張って餡を盛りすぎると、閉じる時に皮が破けちゃいますし、しっかり閉じないと後でフライパンの中で大変なことになりますから要注意です! でもこれ、意外と簡単です!
わたしはひとり黙々と包んでいきました……つまみ食いが一切できないのでつらいです……これが
うちにあるお皿を総動員しましたが、全部、生のギョーザで埋めつくされました。時計を見たら、とっくに日付が変わってました。途中、ちょっとランナーズハイ的に楽しくなったりしましたが、最後のほうはもう泣きそうでした。
誰ですか! ギョーザを自分で作るなんて言ったのは!
もうこんな腹ペコの首を絞めるような真似は一生ごめんです、と、わたしは心に固く誓いました。皮も餡も余さずにぴったり使い切れたのは、ちょっとした奇跡だと思います。もういいです。さっさと焼きます。
油を引いたフライパンに並べられるだけ並べた残りは、ひとまずラップをかけて冷蔵庫にしまいましょう。いくらわたしが腹ペコだからといって、全部はさすがに食べきれませんから。冷蔵庫の中はほとんど空でしたから、余裕で全部しまえました。
フライパンを中火にかけて、お湯ももう一度用意しておきます。油がジュクジュク言い始めたら、じゃーっとギョーザがひたひたするくらいにお湯を入れて、蓋をして蒸し焼きにします。
お湯が蒸発して「ジュワワワ」という音が「パツパツ」に変わってきたら、えいやっと蓋を開けて、ごま油をちゃーっと回しかけます。
そして、本当に水気が飛んでいい感じの焼き色になったら、フライパンを揺すりながらヘラで剥がしてお皿に盛って……わー! おいしそう! 上手に焼けました!
そうそう、自分で作った皮は意外と大きく膨らみますので、あまり一回で焼く分は欲張らないほうがいいです。それでもちょっとくっついちゃいましたけど。
あと、お湯の代わりに水溶き片栗粉にすると羽根付きギョーザになりますが、あまり意味無いですし、前に一度挑戦して失敗した(フリスビーができた)のでもうしません。
お酢と醤油とラー油をお好みで混ぜたタレをいそいそと用意しまして、はい!
腹ペコ手作りギョーザの完成です!
長い長い戦いでした!
やっとここまでたどり着きました!
もう午前一時過ぎてました!
ギョーザと言えば、ビールです。コタツに入ってプシュッと開けます。今度はちゃんとグラスに注ぎます。
いざ! いただきます!
やっぱりギョーザはできたて焼きたて熱々が最高です。もっちり歯ごたえの皮の中からうまみたっぷりの汁がじゅわっと出て、はふはふしますが全部おいしいです。本当おいしいです。涙が出ます(熱いからだと思います)。自分で作ったマジックが効いてます。ああ~、噛めば噛むほどうまみが広がります。お腹の隅々まで行き渡ります。どうしましょう。この喜びは誰かと共有しないといけません。一人じゃとてももったいないです。でもここには、わたししかいません。誰もいません。知ってます。そんなのとっくに慣れてます!
……やっぱり、白菜のほうが好きです。白菜と豚肉は、相性がすごくいいです。ロールキャベツよりもロール白菜です。長ねぎともばっちり合ってます。冬だからそう思うのでしょうか。しめじを入れてもよさそうです。もしかして、お酢と醤油ではなく何か違うタレを考えてもいいかもしれません。でも今はこのままでいきます。だって十分おいしいんだもん。
えと、何といいましたっけ、この発泡酒……あ、サッポロのゴールドスターってやつです。これ、おいしいですね。重すぎなくていい香りがします。偶然目についたから買ってみたのですが、正解でした。安いしとてもありがたいです。お酒は二十歳になってからです。
それにしても、皮も手作りでごはんいらず作戦は正解でした。ギョーザとビールに専念できるのって、幸せです。他に何も考えなくていいですから。はい、あっという間に全部食べちゃいました。よし、第二ラウンド、いきます。こうしてまめに焼いていけば、いつでも熱々が食べられます。一気に焼いて冷めちゃうより全然いいです。理にかなってます。腹ぐあいとも相談できます。ちなみに私の胃袋はまだまだ余裕です! どんどんいきます! ギョーザ、大好き!
そんなわけで、深夜のひとりぼっちギョーザパーティーは大盛り上がりでした。わたしは幸せでした。結局全部焼いて食べて、お酒も全部飲んじゃいました。さすがに最後はちょっと飽きました。ごちそうさまでした。好きな食べ物は何ですか、という質問には、やっぱりカツ丼と答えることにします。
~つづく
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