JK(元♂)、JKの彼女になる

 アキナは帰宅して、ユウトから受け取った旅行バッグを開いてみた。

 中には、かなりフェミニンな新品の衣類や靴、水着のほか、新品のランジェリーや、コスメまでもが大量に入っていた。

 今はサイズが合わないが、あと半月もすればぴったりの体型になるのだろう。

 アキナはとりあえず、押し入れにバッグごと押し込んでおいた。

 

 制服を脱ぎ、下着姿になり、体のサイズを測定する。

 当面の朝晩の日課だ。 

 数センチ単位で大きく変化していた。


 鏡の前に立つと、朝より、さらに女性的になっているのがわかった。

 全体的に丸みを帯びてきていた。


 ウエストのくびれがさらに細くなったことで、膨らんだヒップの大きさがさらに強調されていた。骨盤の形もかなり変わったのだろう。さらに女性的な下半身に変化していた。

 胸も朝よりも成長していた。身長も低くなり、手足も若干小さく、華奢になっていた。

 今朝の基礎体温が上がっていたので、あと半月もすれば生理までくるのだ。


 アキナは、変わり果てた自分の体を見て、ため息をついた。



 スマホにメッセージがきた。

 イオリからだった。

<ちょっとパソコンのことで教えて欲しいの、今からアキナの家に行っていい?>


 アキナは返答する。

<うん。まってるね>


 イオリとは幼稚園時代から一緒で、1ブロックほど離れた近所に住んでいる。

 同じクラスになったことは何度もあったが、直接的な関係はなかった。

 ここまで親密になったのは、はじめてだった。



 ……



 イオリは、ゲーム用の大きなノートPCをもってやってきた。

 父親のお古らしい。


 アキナは早速、セットアップに取り掛かった。

 

 イオリが言う。

「流石に詳しいね。ありがと」


 アキナが言う。

「気にしないで。でもこの様子だと結構時間かかるからね?

 3時間以上かかると思って、時間大丈夫?」


 イオリが言う。

「そっか。なら今日、泊まっていって良い?

 って、実はそのつもりで荷物持ってきちゃった……」


 アキナが言う。

「え? あ、うん。イオリが問題ないならうちは大丈夫」


 イオリが言う。

「ありがと、夕食はどうする?

 私が作ろっか?」


 アキナが言う。

「親が留守だから、自分で作ろうと思ってたところ。

 私がつくるから大丈夫」


 イオリが言う。

「なら、私がつくるよ。パソコンの設定任せちゃってるし」


 アキナが言う。

「わかった、じゃ甘えちゃおうかな。案内するね」


 アキナは、イオリをキッチンに案内した。


 イオリが言う。

「OK。あとは任せて!」


 アキナが言う

「うん、ありがとね」


 アキナは自室に戻る。


 数分後、イオリが、お茶を入れて持ってきてくれた。


 アキナが言う。

「ありがと」


 イオリが言う。

「気にしないで。

 ……?」


 アキナが言う

「どしたの?」


 イオリが言う。

「今朝と雰囲気がかなり変わったよね?

 身長縮んだ?」


 アキナが言う。

「……うん、2センチ縮んだ」


 イオリが言う。

「そっか、体つきも違ってる感じだし、もう、男子じゃ通らないね」


 アキナが言う。

「……うん」


「アキナってさ、半年くらいまでは普通の男の子だったよね?」


 アキナが言う。

「え?」


 イオリが言う。

「なんとなく感じてたの。

 アカサキと仲良くなり出してから変わったなって。

 なにかあったの?」


 アキナは、ユキトとゲームを始めたきっかけを、差障りのない程度、イオリに話した。


 イオリが言う。

「そっか、きっかけはアカサキだったんだね。

 アカサキはアキナの悩みに気付いてたんだ。

 なるほどね……。

 恋愛感情とかはあった?」


 アキナが言う。

「ちょっとだけ期待してた時期もあったけど、今は全くないよ」


 イオリが言う。

「アキナってさ、いま、恋愛対象は男子?

 昔から女子に気がある感じだったよね?

 どうなの?

 ただ女子が羨ましくて眺めていただけ?」


 アキナが言う。

「うーん、男子は無理かな。

 どちらかといえば女子だと思う……。

 私、気持ち悪いかな?」


 イオリが言う。

「そんなことないよ。

 そっか、そうなんだ。

 すごく嬉しいかも」


 アキナが言う。

「嬉しいの?」


 イオリが言う。

「うん。私も女子が好きなの」


 アキナが言う。

「そうなんだ」


 イオリが言う。

「うん。フリーだよ?

 よかったら付き合わない?

 アカネのこと、半年くらい前からなんとなく気になってたんだよね……妙に女子っぽくなってたから。

 ほかに好きな女子でもいるの?

 アカサキはもう男子だよね?

 恋愛対象じゃないんだよね?」


 アキナが言う。

「本当に私で良いの? 元男だよ?」


 イオリが言う。

「違うでしょ?

 元々女子だったわけでしょ?

 男子は仮の姿で」


 アキナが言う。

「……そういうことになるのかな?

 でも、そうじゃなかったとしたら?

 例えば、普通の男子だったけど急に女子に変化したとかだったら?」


 イオリが言う。

「気にしないかな。いまは女子だしね。

 アキナは人気出そうだから、誰にも取られたくないんだ。

 私と付き合おうよ。私の彼女になってよ」


 アキナが言う。

「イオリが大丈夫なら、私はOKだよ」


 イオリがアキナに抱きつきながら言う。

「ありがとー! 大切にするからね」


 アキナが恥ずかしそうに言う。

「……よろしく。って、私が彼女?」


 イオリが言う。

「うん。私、彼氏専門だから」


 アキナが言う。

「……わかった、よろしく」


 イオリが言う。

「じゃ、記念にキスしよっか。ずっとしたかったんだ」


 イオリは、アキナに口づけをした。


 アキナは赤面して何もいえなかった。

「……」


 イオリが言う。

「可愛い。愛してるよ、アキナ」


 イオリは、もう一度アキナに口づけをした。


 

 夕食も済み、パソコンの設定が終わると、お風呂に入ることにした。

 アキナは恥ずかしがったが、イオリが強引なこともあり、一緒に入ることになった。


 イオリは、嬉しそうにアキナの体を入念にしらべた。

 アキナは、終始恥ずかしくて何もいえなかった。


 風呂から上がり、身支度を済ませると、ゲームに取り掛かった。


 イオリはキャラメイクとチュートリアルを済ませたあと、アキナと一緒にLvあげをしてから、イオリのギルドを作成して、アキナのキャラを加入させた。

 彼氏であるイオリの奢りで、新しいエンゲージリングを課金して購入し、二人はお揃いの新デザインのウェディングドレスを着て、教会で婚姻登録を行った。


 イオリが言う。

「おもしろいねー。このゲーム。

 キャラデザインも綺麗だし、可愛い奥さんもできちゃったし。

 プライベートルームに入って、チャットするだけでも楽しいね。

 リホたちも誘うかな。気になってたみたいだし」


 イオリが、スマホを手にとって、グループチャットに発言すると、意外な返答がきた。3人ともゲームを始めていたらしい、しかも、リホとユカは結婚まで済ませていたそうだ。


 イオリとアキナは3人と合流し、ギルドに招待した。

 プライベートルームに移動し、ボイスチャット機能を有効にしておしゃべりを楽しむ。


 リホが言う。

「イオリとアキナってどこまで進んでるの?」


 イオリが言う。

「キスとお風呂かな、今日はお泊まりするんだ」


 ユカが言う。

「告ったの? おめでとう」


 リホが言う。

「おめでと。おしあわせに」


 エリが言う。

「おめでと、アキナ、イオリ。

 みんないいな、ウェディングドレス可愛いね。私も彼女ほしいなぁ」


 イオリが言う。

「エリはミチルと別れたばかりでしょ? より戻せば?」


 エリが言う。

「うーん、どうしよっかな。切り出しづらいんだよね」


 ユカが言う。

「ほんとに別れたかったの?

 きっとミチル待ってると思うよ?

 こう言うのは彼氏から切り出さないとためだよ?」


 エリが言う。

「そっかな……ちょっとメッセージ送ってみる。

 ……。

 あ、返事が来た。

 『私こそごめんね、よりを戻したい』だって……」


 イオリが言う。

「よかったね」


 エリが言う。

「えへへ、よかった。それとなくゲームにも誘ってみることにする」


 イオリが言う。

「あ、そうだ、アキナに言ってなかった。みんなのこと」


 リホが言う。

「言わなくても、さすがに気付いたでしょ?」


 アキナが言う。

「うん、なんとなく。これからよろしくね。

 ようやく私も正式に仲間入りでいいのかな?」


 ユカが言う。

「よろしく。男子とか子供過ぎてありえなから。

 女子の方が断然いいよ」


 リホが言う。

「ちなみに私がユカの彼氏だよ。

 よろしくね」


 アキナが言う。

「よろしく」


 エリが言う。

「アキナのことはちょっと気になってたんだけどな。

 さすが、イオリは手が早いな……」


 イオリが言う。

「ミチルに叱られるよ?

 大切にしなよ」


 エリが言う。

「わかってるてば」


 その晩は、学校ではできない百合女子トークで盛り上がった。

 


 ……



 翌朝、起床すると、アキナとイオリは一緒にシャワーを浴び、身支度を整えた。


 イオリが身体測定を手伝ってくれた。

「また縮んだね。身長が2センチも。すぐに私より背が低くなるかも?

 顔つきもさらに女子っぽくなってきたね。可愛い。

 ヒップ大きいね。胸が成長して体が華奢になってるからトップとアンダーの差もかなり開いてきたね。

 成長痛大丈夫?」


 アキナは恥ずかしそうにメモを書く。


 アキナが言う。

「身体中痛いよ。脇や胸の張りもすごい気になる。

 靴は、2サイズ小さくした方がいいか……。制服もそんな感じかな」


 アキナは、大きな袋を用意して、残っていた男性用の衣類と靴を詰め込んだ。

 これで、完全に過去の自分と決別できる気がした。



 アキナとイオリは家を出ると、駅前で、ユキトを合流した。


 アキナがユキトを見上げながら言う。

「おはよ。アカサキ

 私の方はこれで最後だよ」


 アキナはユキトに大きな袋を渡した。


「おっす、カワモト。

 ずいぶん縮んだね。顔つきも可愛らしくなってきた。

 ボクの方もこれで最後だよ。

 お礼もつけておいたから。

 しっかり女子を楽しんでね」


 そう言うと、女性向けのトートバッグを渡した。


 二人はコインロッカーに荷物をしまうと、学校へ向かった。


 今日は、体育の授業があったが、体の急な変化が安定するまでは、見学するように言われていた。


 つまらなそうに校庭を眺めていると、隣に、同様の理由で見学していたユキトがやってきた。


 ユキトが言う。

「調子はどう?」


 アキナが言う。

「おかげさまで最悪」 


 ユキトが言う。

「彼氏ができたんだよね?

 委員長との雰囲気見てすぐわかった。

 おめでと」


 アキナが言う。

「……ありがと。

 そう言うのも詳しいんだ?」 


 ユキトが言う。

「うん。委員長とは、ある意味同性だしね。

 この学校、そう言うカップル多いから」


 アキナが言う。

「……タカモリとか?」


 ユキトが言う。

「うん。昔から付き合ってる。

 これでリアルで結婚も子作りもできる」


 アキナが言う。

「そう言う狙いだったんだ」


 ユキトが言う。

「まぁ、そんな感じ。

 卵子同士で子供を作る技術も進んでるみたいだから、

 カワモトも母親になれる時が来ると思うよ?

 体外受精って手もあるしね。

 男子と恋愛するのもありか。

 もう男子の視線をかなり感じるでしょ?

 カワモトは、日に日にエロい体になってるからね。

 つらかったよ、あの体型は。

 本当に男子って楽でいいよね。

 ようやく解放されたって感じ。

 あ、エロ本とDVDありがとね。

 早速使わせてもらった。

 いい趣味してるね。気持ちよかった。大切にするよ。

 そうだ、今日あげたお礼を楽しみしててね。

 今のカワモトには必要なものだから。

 きっと気にいると思う」



……



 放課後、アキナはイオリと一緒に帰宅した。

 ユキトからもらったトートバッグには、衣類や化粧品類と一緒にローションやバイブレーター、ディルド、ペニバンなどの女性向けのアダルトグッズがたくさん入っていた。


 イオリが言う。

「すご、これ全部新品じゃん」


 アキナが言う。

「仕返しか……。

 もういらないからって、エロ本とエロDVDを忍ばせておいたらこうなった」


 イオリが言う。

「あはは、おもしろいね。

 アキナもエロ本とか持ってたんだ。

 でもよかったじゃん。

 こんなに買ったら高いよ?」


 アキナが言う。

「いあ、買わないし必要ないし」


 イオリが言う。

「何言ってるの?

 私たちには必要なものでしょ?

 おちんちんないのだし」


 アキナが言う。

「え?」


 イオリが言う。

「え、じゃないでしょ?

 アキナにはあるの?

 おちんちん」


 アキナが恥ずかしそうに言う。

「……ないけど。

 いじわるしないでよ」


 イオリが言う。

「可愛い。

 でも、まだ体の変化が安定してないし我慢しよっか。

 そのうち使おうね。

 最初は痛いだろうけど、すぐに気持ち良くさせてあげるから」


 アキナが恥ずかしそうに言う。

「……うん。

 とりあえず、身体測定すませちゃうね」


 アキナは、制服を脱ぎ、イオリに測定してもらった。


 イオリが言う。

「順調に縮んでるね、目線が私と同じくらいになってるし、体もかなり華奢になって、ふっくらしてきたね。ウエストのくびれが羨ましいよ。胸とお尻も順調に成長してるね。顔も完全に女子の顔つきになってるね」

 

 イオリがアキナに抱きつきながら言う。 

「んー……抱き心地もかなり良くなってきた。

 エッチなことしたい気分だけど1週間くらいは我慢だね。

 体型が安定したら、いっぱい楽しもうね?」


 イオリはアキナを抱きしめながらキスをした。


 イオリが言う。

「それじゃ、連泊はまずいので、今日は帰るね。

 またゲーム内で会おうね」


 イオリはそう言うと、荷物をまとめて帰っていった。


 アキナはユキトにもらったトートバッグを押入れの奥に詰め込んだ。

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