DK、JKに♂遺伝子を奪われる

 ネトゲの嫁生活を初めて4ケ月ほどすると、ユキナがくれるキャンディーの種類が変わった。

 アキトは新しいキャンディーの味に夢中になった。

 ユキナは、ケースごとくれたので、アキトは一日に何本も舐めるようになった。


 その頃になると、ユキナも、キャンディーをたくさん舐めるようになっていた。



 ゲーム内では、ユキトはアキナに、何故か、学校の女子の交友関係を詳しく説明するようになっていた。トイレに一緒に行く友達の関係などまでも詳しく説明された。


 そんなときだった。


 アキトは、体育の授業時間に、急な腹痛を覚え、気を失って倒れたのだ。


 その日、ユキナは病欠していた。



 アキトは、1週間ほど入院し、精密検査を受けた。

 アキトは、この1週間で、何度も気絶した。

 そして、母親と共に主治医に呼び出された。


 主治医が言う。

「息子さん、いえ、娘さんは、かなり特殊な半陰陽ですね。

 お母さん、あなたのお子さんは、女の子です

 生殖器のみ第二次成長が完了したところです。

 気絶の原因は初潮です。

 おそらく再度、第二次成長期に入ります。

 体格もお母さまくらい小柄になると思いますよ。

 前例が全国で数件ほどありました。

 娘さんも同様の傾向がみられます」


「「……」」

 アキトと母親は絶句した。


 主治医が続ける。

「肉体の微調整をしてから、少しずつ女性の体になれるのが良いでしょう。1ヶ月ほどかけて、肉体が変化します、骨格も変化しますし、喉仏もなくなって、声も女性的なものに徐々に変化しますよ」


 アキトの母親が言う。

「微調整ですか?」


「はい。男性の生殖器があると体の変化の妨げになりますから、まずは切除する必要があります。今日、すぐにでも対処しないと、体にも悪影響がでます。

 急なお話ですが、一刻を争いますので、早速オペに取り掛からせていただきます。

 よろしいですか?」


 アキトの母親が言う。

「はい。娘を、よろしくお願いします」


 手術は、異物である男性器をはぎ取るだけのオペだった。

 1時間もかからず終了し、アキトは男性用の複数人部屋の病棟から、女性向けの個室へ移された。


 アキトは1週間ほどで退院した。


 すでに戸籍が変更され、アキトと言う名の長男から、アキナと言う名の長女となっていた。

 学校では女子として扱われることになり、体育は女子と一緒にするように言われ、トイレも女子トイレを使うように指示された。

 髪型や眉などは美容院で調整してもらい、かなり女性的に変化し、制服を着れば高身長の女子で通る感じになった。


 女子として初登校の前日、女子のクラス委員長のイオリ=ムラカワがアキナの家に訪問した。

 卒業生の女子の制服を譲受け、複数サイズ持ってきたのだ。

 ブラウスや体操着、水泳着まで揃っていた。


 イオリはアキナの部屋に通された。


 イオリはアキナの部屋の書籍類を様子をみて言う。

「へー、カワモトって、普通の男子だと思ってたけど、やっぱり女子だったんだね」


 アキナは恥ずかしそうに言う。

「え? いあ、その、それは……」


 イオリが優しく言う。

「いいよ、これからは女子同士だし、仲良くしよ。

 私も同じ本持ってるよ。

 恥ずかしがらなくていいからさ」


 アキナは恥ずかしそうに言う。

「……うん……よろしく」



 イオリが言う。

「サイズ合わせしてみよっか」


 アキナが言う。

「え?」


 イオリが言う。

「気にしないでいいよ。

 これから一緒に着替えとかするんだよ?」


 アキナが言う。

「……そうだよね。

 でもさ、その、今は、全然女性っぽくないからね?

 似合わない女装をしてるような感じだからね?」


 イオリが言う。

「気にしちゃダメ」


 アキナが言う。

「……わかった」


 アキナは下着姿になる。

 スポーツブラにショーツ姿だ。

 すでに胸は膨らみ始め、ヒップも大きくなりウエストは細くなり始めていた。


 イオリが言う。

「普通に可愛いじゃん、もともと華奢だったしね。

 違和感ないよ?

 それじゃ、これから試してくれる?」


 アキナは言われるがまま袖を通す。


 一通りの試着が済むと、イオリが言う。

「んー……、制服とブラウスと体操着はこのサイズから下でいいね。

 水着は、このサイズから下を置いてゆくね。

 靴はこのサイズから下だね。

 明日からちゃんと使ってね?」


 アキナが恥ずかしそうに言う。

「……うん、ありがと」


 イオリが言う。

「わかってると思うけど生理用品とかもちゃんと持ってきなよ?

 ハンカチもだよ?」


 アキナが恥ずかしそうに言う。

「……わかった」


 イオリが言う。

「あと、休み時間になったら必ず私のところにきてね」


 アキナが言う。

「なんで?」


 イオリが言う。

「そこは男子の感覚なのね……。

 まぁ、そっか、女子の文化はわかりづらいしね。

 トイレに入りやすいように一緒について行ってあげるから、休み時間は私のところに必ずくるように」


 アキナが言う。

「毎回?」


 イオリが言う。

「うん。

 女子のグループに入るの大変だからね。

 私のそばにいれば比較的安全にJK生活できるから」


 アキナが言う。

「あぁ、そういうことね。わかったありがと。

 そうさせてもらうね」


 アキナは、ユキナから教えてもらっていた交友関係を思い出していた。


 イオリが言う。

「これからはアキナってよんでいい?

 私のことはイオリでいいよ」


 アキナが恥ずかしそうに言う。

「え? あ……うん」


 イオリが言う。

「やった。よろしくね、アキナ」


 アキナが言う。

「よろしく、イオリ」


 イオリは男子には冷たい印象だったが、今のアキナには、別人のように優しかった。

 二人は、2時間ほどおしゃべりを楽しんだ。

 アキナは女性としてチャットするのに慣れていたこともあり、女性としてのおしゃべりにも普通に馴染んで話ができた。


 イオリが言う。

「アキナは、やっぱり女子なんだね。

 普通に楽しくお喋りできちゃうとは思わなかった。

 いままで、男子のフリして大変だったでしょ?

 これからは普通に女子を楽しめるからね」


 アキナが複雑な思いで言う。

「……うん、ありがと」


 イオリが言う。

「そうだ、男子の制服と体操着と水着を預かって行ってもいい?」


 アキナが言う。

「うん。でもどうして?」


 イオリが言う。

「もう一人いるのよ。アキナとは逆で、男子になった女子が」


 アキナが言う。

「うそ!? 誰?」


 イオリが言う。

「アカサキ。

 今はユキトって名乗ってる。

 かなり背が伸びちゃったの。

 すぐにアキナくらいになるんじゃない?

 でも、アキナと違って、当面、トイレと着替え以外は女子と一緒。

 トイレと着替えは、職員用の男子トイレ使ってる。

 体つきがまだ女子だから、男子の体型になってから、

 男子に合流するんだってさ」


 アキナが言う。

「アカサキって隣の席のアカサキ?」


 イオリが言う。

「うん。

 明日、学校行ったら席間違えないようにしてね?

 アカサキの席と交換になってるから」


 アキナが呆然としながら言う。

「わかった。教えてくれてありがと……」


 イオリは、アキナの男子の制服類を受け取ると、何故か嬉しそうに帰って行った。



 アキナは、スマホを手に取る。

 ユキトからの着歴が残っていた。


 アキナは、ユキトに電話をする。

 

 ユキトが少しだけ低めの声で言う。

「アキナ?」


 アキナが言う。

「……うん。ユキト……くん?」


 ユキトが言う。

「声がだいぶ女子ぽくなったんだね?」


 アキナが言う。

「そっちこそ、声変わり始めの男子みたくなってる」


 ユキトが言う。

「多分、ちょうど同じくらいの変化具合なのかもね」


 アキナが言う。

「びっくりしたよ、さっき委員長にきいたんだ」


 ユキトが言う。

「明日は制服類をもらえる感じかな?

 最初にもらったのが、かなり短くなってるんだ」


 アキナが言う。

「そうなんだ、だいぶ背が伸びたんだね」


 ユキトが言う。

「アキナはこれから縮むんだよね?

 もしかしたら、昔のボクくらいになるかもね。

 そうだ、明日から私服や下着を交換しよ?

 どうせボクのところにあってももう意味ないし」


 アキナが言う。

「……わかった」


 ユキトが言う。

「本とかはもう、今のままでいいよね?

 アキナはもう女子なわけだし」


 アキナが言う。

「うん。いいよ。委員長にみられちゃったし……」


 ユキトが言う。

「そっか、部屋の様子を見て女子認定してもらえたんだね。

 よかったね、手間が省けて」


 アキナが言う。

「こうなること、知ってたでしょ?」


 ユキトが言う。

「……うん。ボクが仕組んだからね」


 アキナが言う。

「やっぱり……ひどいよ。元に戻せないの?」


 ユキトが言う。

「無理だよ。1度しかできないから」


 アキナが言う。

「どうして、俺を巻き込んだの?」


 ユキトが言う。

「アキナの遺伝子の一部が必要だったから。

 性別と一緒に体格も交換されるからちょうど理想的な体格していたのがアキナだったんだ。

 ほんとうに、感謝してる。

 体の変化が安定すれば、ボクの着ていた服がぴったりになるはずだよ。

 そのあとは、それなりに成長するだろうけどね。

 もう戻れないのだから、女子を楽しみなよ。

 JKになれてよかったね」


 アキナが言う。

「……仲良く慣れたと思ったのに」


 ユキトが言う。

「それはアキナ次第。

 ボクはこれからも友人としての関係を続けていいと思ってるから」


 アキナが言う。

「……どうしていいのか、もうわからないよ」


 ユキトが言う。

「ゆっくり考えてみて。

 ゲーム内での婚姻は破棄しておいた。

 フレンド登録はしてあるから、INしたら一緒に遊ぼうよ。

 ゲームは好きなんでしょ?」


 アキナが言う。

「……考えておく」


 アキナは電話を切ると、涙が溢れ出し、止まらなくなった。

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