Y⇔X△GL

キクイチ

DK、JKのネトゲの嫁になる

 日本のような日本でない世界。

 とある学校の教室。

 昼休み。


 どこにでもいそうな標準的な男子学生アキト=カワモトには、気になる女子がいた。それは、最近よく話をするようになった隣の席のユキナ=アカサキだ。

 身長は標準的で、髪はショートボブ、スタイルがよく、透明感のある印象の女子だった。


 アキトは、いつものように一人で昼食をとっていると、同じく隣の席で、珍しく一人で昼食をとっていたユキナに声をかけられる。


 ユキナが言う。

「カワモトって、ネトゲとかする?」


 アキトが言う。

「するよ、でもPC版のゲームでガッツリやる系だけどね」


 ユキナが言う。

「本当? 実は、私もなんだ」


 アキトが言う。

「まじで? 俺は、『X/ファンタジー』やってる。

 アカサキは、何やってるの?」


 ユキナが言う。

「本当? 私も『X/ファンタジー』やってたんだけど、『YXR』の先行CβTに当選したから、昨日から始めてるんだ。

 おもしろいよ?

 本番サービスにそのままデータの移行してもらえるから、引越すつもり」


 アキトが言う。

「いいなぁ。俺、落選しちゃった。

 本番サービス始まったら引っ越そうかなとは思ってる」


 ユキナが言う。

「だったら、私のフレンド枠の招待コード使う?

 一緒にしよ?」


 アキトが言う。

「マジで? すごく嬉しいけど、ほんとにいいの?」


 ユキナが言う。

「うん。本格的なMMORPGってやる人が少ないからね……。

 あ、でも条件があるのだけど、いいかな?」


 アキトが言う。

「条件? なに?」


 ユキナが言う。

「私さ、JKばれするとめんどいから、男性キャラで男子のロールプレイしてゲームしてるんだよね。

 私の代わりに、女性キャラで女子のロールプレイしてくれない?

 できればリアルJKっぽく」


 アキトが言う。

「いいよ。女性キャラ使うときはキャラのイメージ壊さないように中性的なチャットするようにしてたからね。

 でも、JKか……うまくできるか分からないけど、それでもいいなら喜んで引き受ける」


 ユキナが言う。

「ほんと? ありがとー。

 じゃぁ、しばらくは私とペアで行動してJKの練習しよっか?」


 アキトが言う。

「うん。それはありがたいかも」


 ユキナが言う。

「任せて。

 キャラ名はそうだな……アキナ=キサラギにしてよ。

 私は、ユキト=ミナヅキってキャラだからね」


 アキトが言う。

「わかった。帰宅して準備できたら連絡くれる?」


 ユキナが言う。

「じゃ、連絡先交換しよっか」


 二人はスマホの連絡先を交換する。


 アキトが言う。

「ありがと」


 ユキナが棒付きのキャンディーを差し出して言う。

「これ、お礼のキャンディー、かならずカワモトが舐めてね?

 あと、キャンディーの棒は集めて応募したいから、必ず返してくれる?」


 アキトが言う。

「ありがとう。必ずそうする」


 アキトは早速、キャンディーを頬張る。


 ユキナは嬉しそうに言う。

「じゃ、今夜連絡するね」



 ……



 アキトは帰宅後、早めに夕食とお風呂を済ませ、ユキナからの連絡を待った。

 程なく、ユキナから連絡が来て、MMORPG『YXR』にログインした。


 ユキナの希望通り、アキトはアキナ=キサラギというキャラを作成した。


 アキトはキャラメイクして、チュートリアルが終わったので、ユキナ……ユキト=ミナヅキにメッセージを送った。


 アキナが発言する

「ユキトくん。チュートリアルがおわったよ」


 ユキトが発言する

「了解、パーティーに誘うね。

 セーレの街の教会に来てくれる?」


 アキナが発言する

「わかった」


 アキナとユキトは教会で合流する。


 ユキトが発言する

「これ、アキナへのプレゼント。CβT中は無課金でクエスト報酬として手に入れられるんだ」

 

 ユキトがアキナにアイテムのトレードを申し込む。

 アイテム欄には指輪とドレスのアバターがあった。

 

 アキナが発言する

「これ、エンゲージリングとウェディングドレス?」


 ユキトが発言する

「うん。結婚しておいた方が特典があって楽でしょ?」


 アキナが発言する

「いいの? 私がもらっちゃって?」


 ユキトが発言する

「うん。ボクじゃだめ?」


 アキナが発言する

「そんなことないよ、うれしいよ。ありがとね」


 トレードを済ませると、ユキトはタキシード姿になった。

 アキナも早速装備した。


 そして、教会の司祭のところへゆき、婚姻登録を行なった。


 ユキトが言う。

「ありがとね、ボクの嫁になってくれて」


 アキナが発言する

「こちらこそ。よろしくね」


 ユキトが言う。

「よし、じゃ、狩りにゆこう。

 ボクについてきて」


 二人は、夜更けまでゲームを楽しんだ。


 ユキトはゲームが上手で『YXR』にもとても詳しく、アキナはユキトに教えてもらいながらついてつくのが精一杯だった。



 ……



 翌日のお昼休み。


 二人は、ラノベや漫画、雑誌、DVDなどを交換することになっていた。

 ユキナは男子の知識、アキトは女子の知識を補強するためである。


 ユキナが嬉しそうに言う。

「ちょっとずつ交換しようね」


 恥ずかしそうにアキトが言う。

「……うん」

 

 ユキナがキャンディーを差し出す。

「そうだ、今日の分ね、はい」


 アキトが言う。

「ありがと」

 アキトは早速頬張った。


 ユキナは嬉しそうにアキトをみていた。


 アキトが言う。

「あの、ごめんね、足引っ張ってばかりで」


 ユキナが言う。

「気にしないでよ、私の方が先行してるし、今の感じのほうがゲーム内夫婦みたいでいいでしょ?」


 アキトが言う。

「そういってもらえると助かる」


 ユキナが言う。

「昨夜の感じすごーくよかったよ?

 これからもそうしてね。

 私のことは彼氏だと思っていっぱい甘えてくれていいからね」


 アキトが恥ずかしそうに言う。

「……わかった」



 ……



 半月ほどの先行CβT期間が終わり、本番サービスへ移行した。


 ユキトはアキナに毎日、キャンディーをくれた。

 休みの日には日数分くれた。


 その間に、ゲーム内での二人の関係は急接近した。

 お互いに他人には知られたくない秘密を共有できる仲になったこともあり。ゲーム内のチャットでは、なんでも話し合えるようになった。

 ゲームの中では、二人の性別の境界は希薄なものになっていたのだ。


 


 1ヶ月ほど経つと、アキトの部屋は、交換したユキナの私物で溢れかえっていた。


 気になる女子と私物を交換する行為は、アキトに妙な倒錯感を覚えさせた。


 しかも、女性のアキナとして、男性のユキトと接するのだ。


 特に休日は、ほどんどゲーム内で過ごしていたので、男性として生活する時間より女性として男性のユキトと接する時間のほうが長くなっていた。


 平日も帰宅するとゲームに没頭した。

 勉強もゲームでチャットをしながら、一緒にやっている状況だった。


 私物の交換がひと段落すると、ユキナはたくさんの試供品のコスメをアキトに渡した。女性としての生活を学習してもらうためらしい。


 髪や肌、爪の手入れ、無駄毛の処理など、多岐に渡った。

 学校でユキナにチェックされるので、アキトは手を抜けなかった。

 3ヶ月ほど続けると、そんな生活があたりまえになりつつあった。

 髪型もややフェミニンな長めの男性向けのショートボブにさせられた。



 ゲーム内。


 ユキトが発言する。

「アキナはすっかりJKになったね、ありがとね、付き合ってくれて」


 アキナが発言する。

「いいよ、約束だしね。免許皆伝かな?」


 ユキトが発言する。

「うん。自力で女子向けの情報収集もできるようになってるしね。

 ボクは嬉しいよ」


 アキナが発言する。

「ありがと、じゃ、普通の生活にもどれるのかな?」


 ユキトが発言する。

「普通?

 今って普通じゃないの?

 ボクにとっては今が普通なんだけど……?」


 アキナが発言する。

「あ、ごめん、そう言う意味ではなくて、

 私の部屋さ、衣服以外はすっかり女性向けのもので溢れちゃったから、

 そろそろ、もどそうかなってちょっとおもっただけ」


 ユキトが発言する。

「うーん、ボクは反対かな。ボクは今の生活を続けたい。

 アキナにも続けて欲しい。

 そうだな、じゃ、あと半年だけ今の生活を継続できる?」


 アキナが発言する。

「半年か、わかった、半年だからね?

 でもその後も、女子のロールプレイは続けるから大丈夫だよ?

 コツはわかってきたし」


 ユキトが発言する。

「うん、わかってる。よろしくね」










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