12 歪んだ想い

心配な日々を過ごす、俺、吉羽乙戸。

彼女になりつつあった女剣士レイカは、ゲーム内へ国を襲うモンスターを倒しに行った。


そんな中電話が鳴る。


「乙戸さんですか?イロの姉、アイです」


「あ、こんにちは、どうしました?」


「実は、レイカさんの事でお話があって」

俺は直ぐに向かった。待ち合わせ場所は、公園。


「乙戸さん、ごめんなさい、わざわざ呼び出したりして」


「いいえ、構いませんよ。それで、レイカの事でお話があるって事ですが?」


「はい、そのお話をしたいのですが、場所を変えましょう」

断る理由もなく、町へ。そこにある、テナントビルの上へ。エレベーターを降りると部屋に入る。


そこには見知らぬ顔の人達が、20人ほどいる。俺が入室しても、反応がない。


「この人たちは、生徒さんです。私は個人で事業をしていまして、人生を教えているんです」


そうなのか。でも何でここに来たんだろう?

姉は20人の生徒の前に立つと、


「乙戸さん、レイカさんの事ですが」


「ええ、はい!」


「・・聞きたいのですが、あなたは、そんなに、レイカさんの事が・・、好きなのですか?」


「え?」

まさかの言葉に驚く。


「答えてください」

なんで、こんな事聞かれるんだ?さっきの展開とまるで違う。レイカの、安否について教えてくれると思ったのに。


「それは・・好きですけど」


「そうですか」

すると、悲しげに変わる姉の表情。そして、静まり返る部屋。


「・・わたくしは悩みました、自分の心との葛藤。乙戸さんの幸せを願うなら、レイカさんと一緒なのを、祝うべきなのでしょう」

一体何を言っているんだ?俯きながら悲しそうに話している姉。


「でも、心と体が、言う事を聞いてくれないんです。解っていても、感情が止められないんです」

何を言っているんだ?その時、20人の人々が、一斉に立ち上がる。え?


「乙戸さん、こんな事言うのはいけないことだと、思います。でも・・」

20人は周りを囲んで、俺の方に歩き出して向かってくる。


「・・今すぐレイカさんと、別れてください」

??

「な、なんだって?」


「・・そうしなければ、どうなると思いますか」

(ガチャ)と扉に鍵がかけられ、周りを囲まれる。


「手荒な事はしたくありません」

姉はこんな人ではないと、思ってた。でも、やっぱりイロの姉妹だから、本質は似てる、という事だろうか。


「私は、乙戸さんを愛してます」

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