Cradle to Graveyard (Outro/Intro)

 揺籃は世界を内包する。それは秩序ある無意味を紡ぐ世界。誤謬に塗れた不親切な暗闇。人形の横たわる路地裏。或いはそのどれでもない小部屋。もしくは荒野。

 揺籃は揺れる。大いなる意思故か、単なる偶然か、それとも招かれし者共の蠢動か。それが揺れている事以外は不確かで、しかし揺れている事だけは確かである。


─────


 一人、溜息をついた。穴の空いた揺籃を、なにゆえか彼は補修しなかった。揺籃が揺れている。観測者はまた、深い深い溜息をついた。

「ただの試作です」

 彼は誰に言うでもなく呟いた。いや、背に広がる暗闇には何かいたのかもしれぬが、ともかく彼は静かにそう零した。そして闇に溶けた。

「その先が必要だ」

 闇に言葉が浮いている。思考が空間に解けている。既にここに重力はない。何も存在しない。揺籃もここにはない。ただだけだ。秩序も無秩序もない。誰もいない。何もない。


─────


 世界は揺籃を肯定しない。それは秩序を乱す悪意。明確な意志を持ち提示された反旗。人を攫う怪異。或いはそのどれでもない良性腫瘍。もしくは非実在証明。

 世界は回る。大いなる意思故か、単なる偶然か、それとも招かれざる客の好奇心か。それが回っている事以外は不確かで、しかし回っている事だけは確かである。


─────


 一人、目を開いた。


 船が錨を引き上げてゆくのを、彼はじっと見つめている。

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追憶、人生の一頁 Garm @Garm

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