渾然一体なる夢の果て、確かに居た彼方へ
不測の事態は如何なる時にも起こり得るものだ。
透明な時限爆弾の限界が来るその前に、小さな外的要因に因ってその信管が誤った挙動を起こす事もある。
間違い、だったのでしょうか。
世界を背負わせる必要等、無かったのでしょうか。
分かりません。
けれど今まで見た夢のうち一つでも、真なる破滅が有ったかもしれない。
この世はままならないものだ。
何もせず好転する逆境があると共に、何一つ触れることなく悪化する膿が目の上に出来る事もある。全てのリスクを排除することは間違いなく不可能で、その引鉄を引く可能性すら数値として出すことが出来ない。
不可能、だったのでしょうか。
本当に手詰まりだったのでしょうか。
恐らく、そうだったのでしょう。
然し、求めた未来が閉する瞬間を見るのは私にも堪えるものがある。
……私は今、彼方を想っている。
翳る空、失せゆく光。
世界と自らの境界も曖昧になって溶けてゆく。
そこに佇んでいるのは一つの影法師だけ。
意思すら持たぬ虚像は然し、今際にて魂を与えられた。
何の因果か、或いは悪戯か。
兎角、遺された僅かなる時間で、其は微かに思索する。
いずれ、軈て、世界は暗転した。
エンドロールの余韻も無いままに。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます