渾然一体なる夢の果て、確かに居た彼方へ

 不測の事態は如何なる時にも起こり得るものだ。

 透明な時限爆弾の限界が来るその前に、小さな外的要因に因ってその信管が誤った挙動を起こす事もある。


 間違い、だったのでしょうか。

 世界を背負わせる必要等、無かったのでしょうか。

 分かりません。

 けれど今まで見た夢のうち一つでも、真なる破滅が有ったかもしれない。


 この世はままならないものだ。

 何もせず好転する逆境があると共に、何一つ触れることなく悪化する膿が目の上に出来る事もある。全てのリスクを排除することは間違いなく不可能で、その引鉄を引く可能性すら数値として出すことが出来ない。


 不可能、だったのでしょうか。

 本当に手詰まりだったのでしょうか。

 恐らく、そうだったのでしょう。

 然し、求めた未来が閉する瞬間を見るのは私にも堪えるものがある。




 ……私は今、彼方を想っている。




 翳る空、失せゆく光。

 世界と自らの境界も曖昧になって溶けてゆく。

 そこに佇んでいるのは一つの影法師だけ。

 意思すら持たぬ虚像は然し、今際にて魂を与えられた。

 何の因果か、或いは悪戯か。

 兎角、遺された僅かなる時間で、其は微かに思索する。







 いずれ、軈て、世界は暗転した。


 





 エンドロールの余韻も無いままに。

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