イミテイション[ ]

 麗らかな日差し射す木陰で、二人並んで寝転んでいた。

 他愛もない話をした。

 今の話。昔の話。未来の話。

 あの頃起こった事件の裏側。

 タイムカプセルの中身の話。

 青春の頃目指していたもの、追っていたこと。

 それが全部古くなって、年を取ったと感じること。

 色々な話をした。

 今の仕事についての話。背負った願いの重圧。

 いつかまた呑み交わせる日があればいいな。

 そう言って笑った。

 彼の笑顔に嘘偽りは無かった。

 あの頃の記録のままだった。

 あとは黙ったままでいた。

 幸せな時間だった。

 人ひとり訪れない森の奥。

 最後までそうしていた。


 とても、幸せな夢だった。









 ふと、頬を涙が伝う。

 ああ、なんだ。

 「オレ」、生きてたんだ。


 上体を起す。

 点けっぱなしのテレビの中に君がいた。

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