第12話 ENDmarker 2.

 立ち去ろうとして。


 どうしても、できない。


 立ち止まった。


 後ろに戻る。


「なんで?」


 聞いた。


 彼。


 困惑する素振り。


「なんで?」


 もういちど、訊いた。


「いや、なんとなく」


 彼の答え。煮え切らない。


「なんでこの流れで、別れる、って言う話になるの」


 自分の気持ちが、わからなかった。


 友だち以上恋人未満。そのはず。おたがいに深入りしないのが、ルールだったのに。


 別れようって言われたら、別れないと。


「だめ。理由を言わないとだめ」


 これ以上は、深入りできない。


 今すぐ、ここを立ち去るべきだった。


「ごめんなさい。忘れて」


 もういちど、彼に背を向ける。


 歩け。一歩を踏み出せ私。もう彼とは、終わった。終わったんだ。帰らないと。彼のもとから、立ち去らないと。

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