第3話
「おまえ、次のバイトの空きはいつだよ」
クラスメイト。たいして仲が良いわけでもないのに、よく絡んでくる。
「明日」
「うっそだろお前。早く言えよ。予定組む時間ねえじゃん。おい集合。明日、
恋人と最近会ってないので、予定が空いた。それだけ。
恋人は他校で女子高なので、共学のこっちとは事情がことなる。連絡先も、知らない。
「菅取くん、明日はどこ行こっか」
クラスの皆が、大挙して机を囲む。
「あんまり、おかね掛からないところがいいかな?」
適当な、答え。こういうどうでもいい関係に、あまり資源と時間を使いたくなかった。
共学じゃなくて、男子校にすればよかった。恋人から聞いた感じ、女子高は少なくともこういう面倒な横の繋がりは強制されない。
自分の顔目当てで群がってくる女子と、その女子目当ての男子。思春期特有の、異性を意識しているのに自分から近づけないやつらの言い訳に、自分が使われていた。
好きではないが、あきらめてもいる。顔は、どうしようもない。
できれば、もう少し、普通の顔がよかった。それでも、拾ってもらえて、ここまで育てられただけで感謝すべきことだった。
「さ、授業始まるよ。これが終わって放課後になったら、どこに行くか決めよう」
クラスの皆が、宿題がどうとかテストがどうとか言いながら散っていく。
生まれと、才能は、変えられない。
机に伏せた。せめて、少しでも眠ろう。今日もアルバイトがある。
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