松風になりたい

松風になりたい風が

風を掻き分け

果てのない枯れ野原を

綻ばせていく


有機的な農薬散布の代償に

無機物の種が根を張り巡らせる

どこか遠方の松ぼっくりが

誰かの心臓に合わせて鼓動する


落ち葉を風が食むような

掠れて砕ける収縮音


風を待つ松の木が

雲の流れを見上げて

心の曇りを垣間見た

正風体の嫉妬なんてどこにもない


松ぼっくりのエンジンが

音を立てて煙を上げた

枯れ草を道連れにして

行ける所までいってやる


業火の焼かれ

松風の吹かれに

ときめいた

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