02
「ねえねえ、肝試し行こうよ~!」
「大丈夫だって!めいしんめいしん!」
何故だろう。
誰かが居なくなっているのに、数年立つとまたこの話が出る。
泣きじゃくって帰って来られればまだマシだ。
だれも 帰って来られないのが現実なのだ。
「凄く良い所だから帰りたくないだけかも!」
「まだ生きてるかもしれないでしょ!探しに行かなきゃ!」
コウキシンが ひとをまたひとり、ひとり と 消していく。
若者はついに私だけになった。
「あれが魔王の城だとしたら勇者だけがあそこから帰って来られるんだろうな。」
悪の塔を見上げながら そっと呟いた。
私はそこへは入らない。
怖いのもある。
気になったりは……する。
でも、意味を感じない。
命を張ってそこに入る理由がわからない。
お父さんとお母さんは、最後の子供である私がいつあそこにいってしまうか不安で仕方が無いらしい。
「大丈夫だよ。あそこに入るなんて自殺しに行くようなものだもの。」
今日のご飯は鮎の塩焼き。
うん、おいしい。
コウキシンで死ぬより 鮎を食べていた方がしあわせだ。 …うん。
あそこに飛び込むのは セイギでもユウシャでもない ただのムボウなんだ。
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