私のユウキ。【短編】

匿名

01

大きな大きなまっくろい塔。



私の町の裏山の



奥の奥に聳える  『悪の塔』









脅えて誰も近づかない。






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「ヤマモトさんがいなくなったって。」


「馬鹿だねー あそこいったんだよ。 アクノネジロ。」


「マオウジョウじゃないの?」


「ちがうちがう、悪の塔だよ。」



真っ黒に高く聳える塔のことを 町の皆は 悪の塔と呼んでいた。


魔王がいるとか 変な研究施設があるとか

実は宇宙人の基地とか・・・


妙な噂が絶えない。



冗談半分で近づいた若者は帰ってこない。


セイギを気取って踏み込んだ者も帰ってこない。


調査といわれ、送り込まれた者も    帰ってこない。







関らない方が良い。



町全体で出した答えだ。








私もそう思った。




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