曼珠沙華をかぜのそめてや鍾馗蘭

【読み】

まんじゆしやげをかぜのそめてやしようきらん


【季語】

曼珠沙華・鍾馗蘭〈秋〉


【語釈】

鍾馗蘭――①ラン科の多年草。深山の木陰に生える菌従属栄養植物。高さ10~30センチ。茎は赤みがかった白色で、葉は退化してうろこ状。夏、淡紅紫色の香りのある花が集まって開く。②ヒガンバナ科の多年草、ショウキズイセンの別称。暖地に自生。高さ約60センチ。葉は広い線形でつやがあり、秋に出て翌年の夏に枯れる。秋、葉が出る前に濃黄色の花を5~10個輪状につける。鍾馗水仙。

[デジタル大辞泉]


【大意】

ヒガンバナを風が(黄色に)染めてショウキズイセンになるのだろうか。


【付記】

国語辞典をみると、季語としての「鍾馗蘭」はショウキランではなくショウキズイセンのようである。奇妙なこともあったものである。


ショウキズイセンは黄色のヒガンバナとして知られているという。実のところ両者は近縁であり、ほぼおなじ時期によく似た花を咲かせる。暖地に自生とあるが、わたしの近所に咲いているのは誰かの世話の賜物なのだろうか。


なお、「鍾馗」は強いものの権化・象徴とされる中国の神のよし。


【例句】

まんじゆさげ蘭にたぐひて狐啼く 蕪村

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