【約1,100文字】武道館にわが推し立てりはるのゆめ

【読み】

ぶだうくわんにわがおしたてりはるのゆめ


【季語】

はるのゆめ(春の夢)〈春〉


【語釈】

武道館――ここでは「日本武道館」のこと。


日本武道館――東京都千代田区北の丸公園にある武道館で、財団法人日本武道館が運営している。 東京オリンピックの会場として建設され、1964年10月3日に開業。東京オリンピックの柔道競技の会場として使われた。 収容人数は最大14,471人。 しばしば「にほんぶどうかん」と呼ばれるが、「にっぽんぶどうかん」が正式な呼称。 武道の他にも、コンサートや格闘技、大学の入学式、卒業式の会場などとしても使われている。むしろ本来の武道会場としてより、イベント会場としての用途の方が有名なほどである(後略)

[ピクシブ百科事典]


推し――「一推しのメンバー」を意味する略語「推しメン」のさらなる略語。 グループ内で「一番お気に入りの人」「一番応援している人」を指す。(中略)元々アイドルグループ界隈においてグループ内でのお気に入りアイドルを指す形で用いられてきた単語であったが、AKB48の流行やSNSの普及などを機に急速に広まった。 現在はアイドルやグループに限らず芸能人や声優、youtuberといった比較的原義に近い人間をはじめ、架空のキャラクター、さらには動物や無機物、食べ物なども対象にされる事がある。いずれにおいても「特に好きな」という意味合いで解釈すれば問題ない。 なお漫画やアニメなどの二次元キャラクターの場合は推しメンというより推しキャラの略称である。(中略)2019年には辞書に載る単語になっており、若者言葉として扱っている書籍もある。

[ピクシブ百科事典]


【大意】

日本武道館にわたしの「推し」が立っている春の夢である。


【付記】

若者ではないからか、わたしは「推し」なる言葉を好きになれない。少子高齢化の進んだこの社会では、わたしのようにその語の普及を快からず思っているひとが相当数いるのではないだろうか。


しかるに時代は、「推しが武道館いってくれたら死ぬ」という漫画原作のコンテンツがさまざまなメディアで展開されて人気を博しているような状況である。また、「推し、燃ゆ」という小説が芥川賞を受賞したとあって、それが市民権を得たことを認めざるを得なくなったように思う。


「推し」がアイドルグループの贔屓の界隈から出たことに鑑みるに、山口百恵が一世を風靡していたころなどに比べてもアイドルの存在感は増したように思う。アイドルの世界はお笑い芸人のそれにも似て、縁故や何やよりもみずからの才覚がよほど物を言う業界なのであろう。


なお、「春の(夜の)夢」ははかないものの比喩としても用いられる言葉である。

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