はつざくら褒姒もいかに花のかほ

【読み】

はつざくらほうじもいかにはなのかほ


【季語】

はつざくら(初桜)・花のかほ(花の顔)〈春〉


【語釈】

はつざくら――①その年になって最初に咲く桜の花。また、咲いて間もないころの桜の花。初花。②18、9歳ごろの少女をたとえていう語。初花。

[精選版 日本国語大辞典]


褒姒――中国、周の幽王の后。褒の国の人が献じたところからの名。幽王はなかなか笑わない后を笑わせるために平時にたびたび烽火(のろし)を上げて諸侯を参集させた。のちに、申侯が犬戎(けんじゅう)とともに周を攻めたとき、烽火を上げたが諸侯は集まらず、幽王は殺され、褒姒は捕虜になったという。

[デジタル大辞泉]


花のかほ――①咲いている花の姿。花の様子。②花のように美しい顔。花のかおばせ。花のかんばせ。花顔(かがん)。

[精選版 日本国語大辞典]


【大意】

今年最初のサクラの花が咲いた。この花のすがたをみれば、いかにめったに笑わない褒姒でもその花顔をほころばせるであろう。


【付記】

古代中国の故事を持ちだした、わたしの衒学趣味のあらわれた句である。


中国にはサクラがないとも聞くがどうであろう。ロシアにもサクラがあるようだから、中国にないことはないとわたしは思う。その国では「桜(櫻)」の字はサクラを指すわけではないらしい。


【例句】

はつ桜足駄あしだながらの立見かな 信徳しんとく

小僧きたり上野は谷中やなかの初桜 素堂そどう

初桜折りしもけふはよき日なり 芭蕉

咲き乱す桃の中より初桜 同

初桜足軽町のはづれから 北枝ほくし

初花をふれてありくやさかなうり 風国ふうこく

化粧けはひたる娘のかほやはつざくら 十丈じゅうじょう

初ざくらそのきさらぎの八日やうかかな 蕪村

初花や鞍馬くらまのかたへ駒むかへ 麦水ばくすい

初花の中を乗けり御師おしの馬 小春

口説かれて帯の端かむ初ざくら

ひなに似た夫婦もあらん初桜 夏目漱石

この土手で追ひ剥がれしか初桜 同


蚊をやくや褒似がねや私語ささめごと 其角きかく


やうきひの梅にてしりぬわらひかほ

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