しづかさや草をかりとるよそのこゑ

【読み】

 しづかさやくさをかりとるよそのこゑ


【季語】

 草かる(草刈る/草苅る)〈夏〉


【大意】

 草かりをする近所の声が聞こえてくるしずかな日和である。


【附記】

「しづかさ」を詠みたがるのは、松尾芭蕉(1644-1694)以来の俳句作者の性だと思う。

 一説に、俳句では「草刈」と「草取」を区別するらしい。


【例句】

 草刈の草にむさるる暑さかな 正秀まさひで

 草刈の道々こぼす野菊かな 露川ろせん

 牛も笛もなき草刈のあつさ哉 也有やゆう

 草刈の手に残りけり祭笛 同

 草刈の笛暮はてて虫の声 同

 秣草まぐさ刈る野を横さまに時鳥ほととぎす 井月せいげつ

 草刈のかごの中より野菊かな 夏目漱石

 草刈の籠の目を洩る桔梗ききやうかな 同

 草刈れば木槿むくげ花さく草場かな 河東碧梧桐

 草刈の足をつけたる清水哉 寺田寅彦

 草刈の鎌にこぼるる野菊哉 同


 草取の空に息づく青田かな 紫道


 しづかさや岩にしみ入る蝉の声 芭蕉

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る