名月やゑのころ草も花の数

【読み】

 めいげつやゑのころぐさもはなのかず


【季語】

 名月・ゑのころ草(狗児草/狗尾草)〈秋〉


【語釈】

 ゑのころ草――いわゆるネコジャラシのこと。えのこぐさ。


【大意】

 花らしくないねこじゃらしも名月のもとにひとつの花として存在を主張していることである。


【附記】

 2020年の十五夜は10月1日とのこと。


【例句】

 名月や舟虫走る石の上 桃隣とうりん

 名月や池をめぐりて夜もすがら 芭蕉

 名月や門に指しくる潮頭 同

 三井寺の門たたかばやけふの月 同

 名月やちご立ち並ぶ堂の縁 同

 明月や座にうつくしき顔もなし 同

 名月や柳の枝を空へふく 嵐雪らんせつ

 名月や煙はひゆく水の上 同

 名月や畳の上に松の影 其角きかく

 名月や竹を定むるむら雀 同

 名月や琴柱ことぢにさはる栗の皮 園女そのめ

 青鷺のつがひわたるや今日の月 浪化ろうか

 名月や土手のはづれのなびき藪 同

 名月や船なき磯の岩づたひ 太祇たいぎ

 名月やうさぎのわたる諏訪の海 蕪村

 名月や神泉苑のうを躍る 同

 明月や座頭の妻のかこち顔 闌更らんこう

 名月やかはやにて詩の案じくせ 召波しょうは

 あらしふく草の中より今日の月 樗良ちょら

 人遠く水長うして今日の月 暁台きょうたい

 名月や辛崎の松せたのはし 几董きとう

 名月をとつてくれろと泣く子かな 一茶

 名月や故郷遠き影法師 夏目漱石

 名月や杉に更けたる東大寺 同

 いが栗のはぢける音やけふの月 正岡子規

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