夢にまで風の香みつる座敷かな

【読み】

 ゆめにまでかぜのかみつるざしきかな


【季語】

 風の香〈夏〉


【大意】

 夢のなかにまで風の香りが満ちあふれて来るすばらしい座敷でした。


【附記】

 緑の豊かな土地にある建物の座敷に一夜宿り、その建物の主人を讃美する挨拶として詠んだ体の句である。なぜ敢えてそのような句を詠むのかと言えば、それはひとえにそのようなアイデアが頭のなかに生じたからである。

「風の香」は「薫風」(=初夏、さわやかに若葉を渡って吹く風。風薫る)と同趣旨の語である。


【例句】

 風の香も南に近し最上川 芭蕉

 帆をかぶる鯛のさわぎや薫る風  其角きかく

 薫風や裸の上に松の影 正岡子規

 鷺一ツ下りて青田の風薫る 同

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