青丹俳句サロン(「俳句のようなもの」第3部)

青丹よしお

物語せよや夜長の影法師

【読み】

 ものがたりせよやよながのかげぼふし


【季語】

 夜長〈秋〉


【大意】

 影法師は物語をして秋の夜長の無聊を慰めよ。


【附記】

 盛唐の詩人李白(701-762)は月と影法師を相手に酒宴を催したと聞く。それにくらべるともう少し健康的であろうか。


【例句】

 て起て長き夜にすむひとりかな 太祇たいぎ

 長き夜や目覚むるたびに我老いぬ 樗良ちょら

 夜長さや処もかへず茶立虫 白雄しらお

 長き夜や眼鏡に曇る雨の音 成美せいび

 夜長しやきぬた千声ちごゑに月ひとつ 道彦みちひこ

 長き夜や心の鬼が身を責める 一茶

 長き夜や土瓶をしたむ台所 夏目漱石

 山賊の煙草くゆらす夜長かな 寺田寅彦

 火事の夢さめて火事ある夜長哉 尾崎放哉

 新しき畳の匂ふ夜長かな 芥川龍之介


 名月や故郷遠き影法師 夏目漱石

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