第2話
ふと学校に通う途中に「なんで俺ラノベ持ってきてんだよ…」と溜息をついた。すると前を通りかかった小学生に「息臭い」と怒られてしまった。どう考えても理不尽なんだよなぁ。気が付くと俺が通う高校『海空高校』の前だった。俺は覚悟を決めると一歩一歩と自分の教室に入り本を開いた。彼女は俺よりも早く学校に来て本を読んでいたので2人並んで本を読んでいる。そんな光景が教室にはあった。俺はなぜか緊張して文字が全く頭に入ってこずただ文字を追っていると彼女は重い口を開いた。「何読んでるの」俺は驚き彼女の方を見ると彼女はこちらをちらりとも見ず本を読んでいた。「えっと…ラノベ。」と気の滅入るような声でそう言うと彼女は突然「おすすめの本貸してあげよっか」と言った。俺は脊髄反射で「頼む」と言うと、彼女は少し笑って「はいこれ。」と大事そうに渡してきた。「星の王子さま??」と聞くと「そう。読み終えたら返して」とだけ言われた。正直この本に興味はなかったがまさか彼女が本を貸してくれるなんて思いもしなかったからかその日は「徹夜してでも読み切る」と断言した。その後面倒な授業を終え下校した俺は「部屋で今日は集中して読むぞ…」と玄関のドアを開けると珍しく兄がいた。兄は「久しぶり我が弟よ〜」と言ってきたが俺は「今日忙しいから」とそそくさと部屋へ入った。兄は普段ふざけているが世間では「100万年に1人の天才」と呼ばれ17歳の俺と二つしか変わらないのに世界中の研究室から引っ張りだこだ。しかし幼少で才覚を示した兄は俺と関わる暇もなく常に外に出ていたため遊ぶ時間は愚か会う時間すらあまりなかった。そんな兄が俺は嫌いだ。「そうだ、本読まねぇと…」と『星の王子さま』のページをめくった。そう言えば兄はなんの才能があったんだっけ。まぁどうでもいいか。兄のことなんて。この先関わることなんてないだろう。
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