第2話

「水島先輩!」

都内のバーで私に声を掛けてきたのは後輩の

松田君。私は今、出版社で働いている。松田君はその部署の後輩だ。

「先輩、何のカクテル飲んでるんですか?」

「これ?ブラッディメアリーだよ。」

「血のメアリー?怖いもの飲んでるんですね、先輩。」

「確かに名前は怖いね。でもおすすめだよ。」

「そうなんですか、今度飲んでみます!あ、先輩聞きましたよ、今度のプロジェクトでロンドンに行くんですよね?部署内でも注目されてるみたいじゃないですか!おめでとうございます!」

「ありがとう。この仕事が上手くいったら、もっと大きな仕事任せようかなって上司が言ってたから、張り切ってやらなきゃ。そういえば君も新しいプロジェクト任されたんでしょ?おめでとう」

「はい、ありがとうございます!」

「じゃあ、大きい仕事が決まったってことで、お祝いに一杯ご馳走するよ。」

「いいんですか?じゃあ、僕はカシスオレンジで!」

「…調子がいいのね」

後輩に微笑みかけ、私は静かにグラスを傾けた。

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女王と5℃の凶器 桜河浅葱 @strasbourg-090402

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